商品への想いを広告で届ける「インタビュー動画広告」設計と制作のポイント

商品への想いを広告で届ける「インタビュー動画広告」設計と制作のポイント

機能には自信がある。品質にもこだわっている。それなのに、思うように選んでもらえない。あるいは、一度は買ってもらえても、リピートにつながらない。

それは、商品のこだわりや開発の背景、作り手のストーリーや想いが十分に伝わっていないからかもしれません。

けれども、開発の背景やブランドとしての想いまで届けたいと思っていても、なかなか実現できていないケースは多いのではないでしょうか。Webサイトに来てもらわないと見てもらえない、広告ではスペックや価格しか伝えられない、と感じている方もいるかもしれません。

実は、広告でもこうした「想い」を届けることができます。それが「インタビュー動画広告」です。

本記事では、2026年1月29日に開催されたセミナー「~『いいもの』をつくるブランドが選ばれるために~ 作り手の想いが伝わるインタビュー動画広告の作り方」の内容をもとに、インタビュー動画広告の設計と制作のポイントを整理します。

【アナグラム株式会社】北島 舞(きたじま まい)
運用型広告事業部 / チームリーダー

広告代理店にCriteoを中心としたフィード広告専任担当として約100アカウントのコンサルを担当。

2017年より、フィードフォースにてEC・アパレル・人材など幅広い業種のクライアントを支援。2021年に国内3名のCriteoエキスパートに認定。2022年にアナグラムへ移籍。

【アナグラム株式会社】佐藤 一葉( さとう かずは)
運用型広告事業部 / デザイナー

EC領域を中心に、静止画から動画まで一貫したクリエイティブ設計・制作を支援。

広告主と同じ目線でビジネス成長に貢献するクリエイティブを追求し、広告を目にする生活者への誠実さを大切にしながら、商材の魅力を丁寧に伝えている。


なぜ「インタビュー動画広告」がLTV改善に効くのか

広告で「想い」を伝えるのは難しい、と感じるのは自然なことです。静止画バナーやUGCクリエイティブは、限られた尺やスペースの中で瞬時にメリットを伝えることに長けたフォーマットです。短い接触時間で注意を引き、機能的なメリットを端的に届ける。CPAを抑えながら新規獲得の母数を広げるには有効な手法ですが、その構造上、伝えられる情報は「価格」「成分」「スペック」といった機能的価値が中心になります。

「なぜこの商品をつくったのか」「開発でどんな壁を乗り越えたのか」といった文脈は、こうしたフォーマットでは削ぎ落とされがちです。インタビュー動画広告は、まさにこの「削ぎ落とされてきた部分」を広告の段階で届けるための手法です。

インタビュー動画広告とは

インタビュー動画広告とは、商品に関するインタビューをそのまま広告クリエイティブとして活用する動画広告手法のひとつ。ただし「単に人が喋っている映像」ではなく、広告として機能させるための設計が欠かせません。

具体的には、画面の構成を「メインコンテンツ」と「補足情報」の2層に分けます。メインコンテンツは、人が熱意を持ってブランドストーリーや商品への想いを語る姿。上下の固定帯には「今何の話をしているのか」というテーマと、商品のメリットやオファーを常時表示し、広告としての目的からブレない構造をつくります。

この設計により、視聴者は作り手の想いに触れながらも、スムーズに商品理解へと進むことができます。

LTV改善につながる3つの理由

ではなぜ、インタビュー動画広告がLTV改善と相性の良い手法といえるのでしょうか?紹介された理由は大きく次の3つです。

1つ目は、人が想いを持って話す姿そのものが持つ「引き込む力」です。テキストや静止画では伝わりにくい熱量が、映像と声を通じてダイレクトに届きます。

2つ目は、テキスト量の制約から解放されること。短尺のUGC風動画では情報を削ぎ落とす必要がありますが、インタビュー形式であれば文脈を大切にした表現が可能です。

3つ目は、広告の段階で「コアな情報」を届けられる点。通常であれば、ファンになってからメルマガやブログで知るような開発秘話を、広告という入り口で伝えることで、ファン化までの時間を大幅に短縮できます。

購入されるユーザー層が広がった事例

実際にアナグラムで支援している商材でも、インタビュー動画広告の導入によって従来とは異なる層からの反応が見られました。

ある商材では、企業の代表がブランドへの想いや開発ストーリーを語るインタビュー動画を配信。それまで女性の購入がメインだった商材で、開発ストーリーに共感した男性の構成比が13ポイント上昇。さらに、動画内の「日本独自の~」というストーリーへの言及が高年齢層に響き、購入してもらえる年齢層そのものが拡大しました。

機能訴求だけでは届かなかった層にアプローチできるようになる点は、インタビュー動画広告ならではの強みと言えるでしょう。

成果を左右するのは「準備段階」

インタビュー動画広告の質は、当日どれだけ良い話を引き出せるかで決まります。しかし、それは当日のやり取りだけで生まれるものではありません。事前準備を通じて「狙った情報を、対象者が熱量を持って語れる状態」をどこまでつくれるか。ここが成否の分かれ目です。

成果につながるインタビュー映像を撮るには、以下の6つの準備が欠かせません。

  • 動画の目的を決める
  • インタビュー対象者、聞き手の選定
  • どんなテーマを扱うか検討・調査
  • 大枠の動画の流れを想定
  • 質問票の作成
  • インタビュー当日まで、インプットを磨き上げ

中でも特に差がつくのが「対象者・聞き手の選定」「質問票の作成」「当日までのインプットの磨き上げ」の3つ。当日のインタビューで化学反応を生み出すための土台となるポイントです。

インタビュー対象者・聞き手の選定

インタビュー動画広告において「誰に話してもらうか」は、成果を大きく左右する要素です。

求められるのは、単なる説明ができる人ではなく、自分の言葉で想いを語れる人物。視聴者に向けて熱量を持って話せるかどうかが重要になります。

理想的な対象者は、代表者や商品の開発者など、事業や商品の背景を深く理解している人物です。商品に込めた想いや当時の苦労、意思決定の背景まで語れることで、視聴者の共感を生みやすくなります。

質問票の作成

インタビュー動画広告の準備では、事前に質問票を作成し、対象者へ共有しておくことが重要です。

質問票は単なる進行表ではなく「引き出すための設計図」として機能するもの。動画の構成に必要な要素を押さえるだけでなく、調べれば分かる表面的な情報にとどまらず、企業の芯に触れるような問いを設計することが求められます。

たとえば「この商品の特徴は何ですか?」ではなく、「創業時に○○という選択をされたのはなぜですか?」のように、リサーチを前提とした具体的な問いを用意する。こうした質問があると、対象者に「ここまで調べてきてくれたのか」と感じてもらえ、予定していた内容を超えた話を引き出しやすくなります。

インタビュー当日まで、インプットを磨き上げ

質問票を作成したら終わりではありません。インタビュー当日まで情報収集を続けることが、引き出せる話の質を大きく左右します。

ブログやnote、インタビュー記事、外部メディアの記事を横断的に読み込み、対象者や企業への理解を深めておくことが大切です。同じテーマでも媒体ごとに切り口が異なるため、複数の情報に触れることで、その企業や人物の「共通する価値観」や「考え方の軸」が浮かび上がってきます。

対象者の経歴や背景まで把握しておくと、当日の会話がより深まりやすくなるもの。その結果、想定を超えたやり取りや新たな気づきといった「化学反応」が生まれる可能性も高まります。

情報把握はインタビューをする上での礼儀。調べれば調べるほど、会話が弾みやすくなり、当日の化学反応の可能性が高まるでしょう。

インタビュー動画広告 撮影のポイント

インタビュー動画広告は「話そのものがフック」になるため、一発撮りが前提。台本を読み上げるのではなく、対象者の生の言葉を引き出す撮影スタイルです。

だからこそ重要になるのが、撮影環境の整備と、対象者が話しやすい雰囲気づくりの2点です。

撮影環境の整え方

撮影環境は、「音声品質」と「映像品質」の2つの観点で準備します。

音声面では、まず隣室の話し声や生活音が入らない静かな部屋を選ぶことが前提です。空調の音が入る場合は弱めるか停止しましょう。インタビューでは言葉のニュアンスが重要なため、ノイズは視聴体験を大きく損ないます。マイクはワイヤレスピンマイク(襟元装着)に風防(ファー)を付けて使用するのがおすすめです。

映像面では、照明の色味に注意が必要です。青みや黄みが強いライトは対象者の顔色に影響し、映像全体の印象を左右します。可能であれば自然光を活用し、色味調整ができるリングライトがあると現場で微調整しやすくなります。

場の空気づくりも「演出」のひとつ

意外と見落とされがちなのが、撮影中の雰囲気づくりです。

インタビュー動画広告では、収録の都合上、聞き手が声に出して相槌を打つことができません。そのため、うなずきや表情、身振りといったリアクションを意識的に行い、対象者が気持ちよく話せる空気をつくる必要があります。

こうした雰囲気づくりによって対象者のテンションが上がり、結果として動画の質にも大きく影響します。聞き手のリアクションは「演出」のひとつと捉えましょう。

「面白い」を「欲しい」に変える、構成と編集のテクニック

撮影した素材をそのまま流すだけでは、広告としての成果にはつながりません。視聴者の興味を引きつけ、「理解」から「納得」、そして「購買」へとつなげるためには、目的に応じて内容を再構築する必要があります。

ここでは、編集時に押さえるべき3つのポイントを紹介します。

「文字起こし」から再構成する

まず、インタビュー内容をすべて文字起こしし、要素ごとに分解します。

その上で、元の時系列にとらわれず、広告として最も説得力のある順番に再配置するのがポイントです。パズルのように組み替えることで、視聴者が理解しやすい論理的なストーリーラインを構築できます。

具体的な手順は以下の3ステップです。

1.録画をドキュメントへ文字起こし

2. 動画に使用する部分を要素ごとに抜き出す

3.抜き出した要素を繋ぎ合わせ、構成案を検討

動画構成時は、要素のブロックを「興味」と「共感」の2軸で分類し、視聴者の感情の流れに沿った並び順を設計すると効果的です。

不要な文脈をトリミングする

「えー」「あの」といった言い淀みはもちろん、本筋と関係のないエピソードもシビアにカットします。

インタビュー動画はUGC動画より情報量を持たせやすい反面、冗長になると離脱につながりやすいもの。視聴者の関心を維持するためにも、不要な要素を削ぎ落とし、興味から行動へとスムーズにつながる導線を整えることが重要です。

視覚的な変化で視聴を維持する

どれだけインタビューの内容が良くても、映像に変化がなければ視聴者は離脱してしまいます。視覚的な変化をつけて視聴を維持する工夫も欠かせません。

効果的な手法は2つあります。

1つ目は、動画テーマ(質問)の固定表示。「〇〇な理由とは?」といった疑問形のテーマを画面上部に固定で表示します。視聴者に「この先で答えが分かる」という期待を持たせ、続きを見る理由をつくるテクニックです。ここでのコツは、タイトルに答えを書かないこと。答えへの興味で視聴を引っ張る設計にします。

2つ目は、インサートカットや画角の切り替え。話の内容に合わせて商品写真や作業風景などのカットを差し込み、映像に変化をつけます。カメラを複数用意できる場合は、正面と斜めの2アングルで撮影し、適宜切り替えることで映像にリズムが生まれます。ビジュアルのメインはあくまで「ご本人が話している姿」。インサートカットはシーン想起と絵替わりの役割に徹する点がポイントです。

インタビュー動画広告で「共感」を起点にLTVを伸ばす

ブランドの背景や作り手の想いは、商品の機能説明だけでは届きません。インタビュー動画広告は、人が語る姿を通じてそうした「見えない価値」を広告の段階で届けられる手法です。

本記事で紹介したポイントを改めて整理すると、成果を出すために重要なのは以下の3つのフェーズです。

準備フェーズでは、対象者の選定と質問票の設計、そして当日までのインプットの磨き上げ。撮影フェーズでは、ノイズ対策や照明の整備に加えて、対象者が話しやすい場の空気づくり。編集フェーズでは、文字起こしからの再構成、不要な文脈のトリミング、視覚的な変化による視聴維持。

取り組む際は、まず自社の商品開発者や代表に30分ほどヒアリングをしてみることから始めてみてはいかがでしょうか。その会話の中に、インタビュー動画広告の核となるストーリーが眠っているはずです。

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