バナーは「飛び先」から逆算。クリックされても成果が出ない原因と、訴求設計4つのステップ

バナーは「飛び先」から逆算。クリックされても成果が出ない原因と、訴求設計4つのステップ

「クリックはされるのに、成果に繋がらないバナー。次に作るなら、どんな訴求にしますか?」

こう聞かれたとき、すぐに答えられるでしょうか。見た目の完成度には自信がある。クリック率も悪くない。それなのにコンバージョンに繋がらないとなると、「じゃあ何を変えればいいの?」と手が止まってしまいますよね。

私自身もまさにそうでした。クリックは取れるのに、コンバージョンに繋がらない。原因を探っていたときに、社内研修で聞いた一言にハッとさせられました。

「クリエイティブと飛び先のコミュニケーションがズレているから成果が出ない」

まさにこれが、ユーザー離脱の正体だったんです。

飛び先は多くの場合、固定です。だからこそ訴求に迷ったら、"変えられない飛び先から逆算して考える"のが成果に繋がる近道だと気づきました。

この記事では、そのときに学んだ考え方と、飛び先基準で訴求を設計するコツを実例とともに紹介していきます。


そもそも、クリエイティブの役割ってなんだろう?

クリエイティブの役割は、案件や目的によってさまざまだと思います。けれど、社内の研修で共有されたこの視点は、特に腹落ちするものでした。

記事LPにおけるクリエイティブの役割は「流入数を増やすこと」ではなく、「流入させたいユーザーを絞り込むこと」

この言葉を聞いて、これまで漠然と捉えていたクリエイティブの役割がより明確になりました。バナーは入口であり、「コミュニケーションの導線」を作ること。そう腑に落ちたんです。

そこで重要になるのが「ユーザーはどんな状態で入ってくるのか」という視点。研修ではそのヒントとして、クリエイティブを3つのタイプに分類していました。

クリエイティブの3タイプ「現状・理想・手段」

たとえば「ダイエットドリンク」のバナーを作るとして、それぞれのタイプで見てみましょう。

「現状」を表現したクリエイティブ

クリエイティブ例:「ビール腹の脂肪落としたい……」

悩みが深く、解決策を探している状態。「どうにかしたい」という気持ちが強いので、バナーをクリックしたあとは「その悩み、わかります」と共感してくれるコンテンツを期待しています。

「理想」を表現したクリエイティブ

クリエイティブ例:「美肌になって」

「こうなりたい!」という憧れが強いユーザー。「どうすればなれるんだろう?」と考えている段階なので、飛び先ではまず期待感を高め、「この商品が叶えてくれるんです」と繋げたい。

「現状」や「理想」の訴求で入ってきたユーザーに、いきなり商品の話をしても、気持ちが追いつかず「自分には関係ないかも」とページを閉じてしまう層は多いはずです。共感や期待感を高めてから商品紹介に繋げる記事LPに遷移させたほうが、コンバージョンの可能性は高まります。

「手段」を表現したクリエイティブ

クリエイティブ例:「毛穴レスな透明肌」

理想も現状も踏まえたうえで、「美容液で解決」という方法に興味がある状態。すでに解決策への関心が高い。

このタイプのユーザーは、共感パートが長すぎると冗長に感じて離脱する可能性が高くなります。先に商品紹介をしたうえで、それが理想の実現や現状の解決にどう役立つかを説明するほうが、コンバージョンに繋がるコミュニケーションになるはずです。

タイプ別・相性の良いLP構成

3タイプそれぞれに対して「どんなLP構成だと成果が出やすいか」を整理しておきます。自分の案件でどのタイプを狙うべきか、判断する材料にしてみてください。

クリエイティブのタイプユーザーの状態相性の良いLP構成避けたい構成
現状(悩み訴求)課題が顕在化しており、解決策を探している共感 → 原因解説 → 解決策として商品紹介 → CTAいきなり商品スペックから始まるLP
理想(憧れ訴求)「こうなりたい」という欲求が強い理想像の提示 → 実現方法 → 商品紹介 → CTA悩みの深掘りが長すぎるLP
手段(機能・商品訴求)解決手段に興味があり、詳細を知りたい商品紹介 → 機能・スペック → ベネフィット → CTA共感パートが長いLP

大事なのは、同じ記事LPでもクリエイティブのタイプが変われば成果はまったく変わるということ。

実際に、ある案件では同一の記事LPに対して異なるタイプの訴求を掛け合わせたところ、コンバージョン率に2倍近い差が出ました。流入数は同程度なのに、です。記事LPに入ってくる人の需要が違うから、成果が変わる。当たり前のようで、意外と見落としがちな視点でした。

訴求を変えただけで、同じLPの成果がここまで変わる

研修ではクリエイティブと記事LPをセットで設計するのが理想とされていましたが、実務では遷移先がすでに決まっているケースのほうが多いですよね。

だからこそ、変えられない遷移先をじっくり読み込んで、バナー側でコミュニケーションを合わせにいく。そのほうが、手探りで訴求を考えるよりも、再現性があり、より成果に繋がるものに近づけます。

実際に、LP起点でバナーを設計してCPAが大きく改善した案件がありました。

背景

ある業界で広く知られるデザイン向けのサブスクリプションサービスで、広告運用を担当することになりました。先方にとっても代理店との取り組みは初めてということで、従来のバナー表現にとらわれない新しいアプローチを試すことに。

それまで先方側で制作されていたバナーは、サービス内の特定の機能名を前面に押し出したものが中心。そのため「その機能に強い思い入れがある人」にしか届きにくく、ターゲットが限定されてしまう傾向がありました。

さらに遷移先のLPは固定。広告側でもLPに沿ったコミュニケーションを意識する必要がありました。

目的

この案件で設定した目的は3つ。既存の認知層に「新しいプランが登場した」ことを周知すること、プラン内容を説明して納得感を持ってもらうこと、そして遷移先LPが固定なので広告とLPのトーンを一致させることでした。

成果

従来のバナー(機能名だけの訴求)と、LP起点で設計したバナーを同じ条件で配信したところ、クリック率やCPCはほぼ同水準。

ところがコンバージョン率には約4倍の差が出ました。

クリック単価が同じでもコンバージョン数が大きく増え、CPAも大幅に改善。広告で「こんな体験ができそう」と期待させた内容を、LPで裏切らなかった。シンプルですが、この一致がすべてでした。

「クリック後の体験の質」がCPA改善の鍵だったんです。CTRやCPCの数字だけ見ていたら、たぶん気づけなかったと思います。

成果につながる「逆算式」バナー設計の4ステップ

ここからは実践編です。普段私がどんな風に訴求案を考えているのか、プロセスをそのままお見せします。

STEP1:遷移先LPを5つの視点で読み込む

訴求を考える前に、まずは飛び先のLPをじっくり読み込むのが出発点。私は以下の5つの視点でLPを分析しています。

① ファーストビュー

LPのメインコピーは何か。どんなベネフィットを最初に打ち出しているかを確認します。ここが広告とズレていると、ユーザーは「思っていたのと違う」と感じて即離脱してしまう。

② 構成

LP全体の流れを把握します。「プラン紹介 → 特徴 → 機能 → 口コミ → FAQ」なのか、「悩み共感 → 解決策 → 商品紹介 → 実績」なのか。この構成によって、バナーで呼び込むべきユーザーの状態が変わってきます。

たとえば、ファーストビュー直下がいきなりプラン概要のLPに対して、悩みを強く訴求するバナーで流入させると「急に買わせようとしてる?」と違和感を持たれかねません。

③ CTA(ゴール)

CTAが「購入」なのか「資料請求」なのか「無料お試し」なのか。CTAが「購入」のLPに対して「まずは無料で試してみませんか?」という訴求のバナーを出すと、クリック後に「無料じゃないじゃん」となる。地味ですが、ここのズレは離脱に直結します。

④ トーン&マナー

LPの言葉選びの雰囲気を見ます。「スタンダード」「高品質」といったフォーマルな言葉が使われているLPに対して、あまりにもポップで砕けたバナーは世界観が合わない。また、LPに記載されていない要素を強く訴求しても「書いてないけど?」とユーザーが戸惑うことがあります。

⑤ ビジュアル

配色、写真のテイスト、余白の使い方など。LPが青・白・黒基調でミニマルなデザインなら、バナーもその色合いを踏襲したほうが、クリック後の体験に統一感が出ます。

この5つの観点をチェックリストにしておくと、LP読み込みを毎回同じ精度で回せるのでおすすめです。

観点チェックすることバナーへの影響
ファーストビューメインコピー、最初に伝えているベネフィットは何かバナーのメインメッセージをFVと整合させる
構成FV直下は何か(共感?プラン?機能?)呼び込むユーザーの「状態」を構成に合わせる
CTAゴールは購入?資料請求?無料体験?ゴールと矛盾する期待を持たせない
トーン&マナーフォーマル?カジュアル?機能訴求?情緒訴求?LPにない要素を強く訴求しない
ビジュアル配色、写真テイスト、余白感バナーの世界観をLPに揃える

STEP2:このLPの対象はどんな属性かを考える

LPを読み込んだら、次は「このLPは誰が対象なのか」を具体的に想像していきます。

やり方はシンプルで、LPの構成やコピーから逆算して、ターゲットとなりうる層を洗い出すだけ。ただし「デザイナー向け」のようにざっくり括るのではなく、「この人がこのLPを見たとき、どこに最初に目が行くか」「どの情報があれば納得して購入に至るか」まで踏み込んで考えるのがコツです。

先ほどのデザイン向けサブスクサービスの案件を例にすると、同じ「デザイナー」でもフリーランスと企業の担当者では響くポイントがまるで違いました。

フリーランスのデザイナーの場合、クライアントワークで納品物のクオリティ担保が必須。でも固定費はできるだけ抑えたい。だから「手頃な価格帯のプランがある」という情報がLPのプラン概要セクションと直結する。

企業のインハウスデザイナーや広報担当者の場合、社内資料からSNS投稿まで幅広い用途で使うため、利用範囲やライセンスの条件が最大の関心ごと。LPにその記載があるなら、バナーでもそこを前面に出すのが自然です。

こんなふうに、LPの中身と照らし合わせながら「誰が、どの情報を見て、どう動くか」を具体的にシミュレーションしていくと、訴求の切り口が自然と見えてきます。

STEP3:LPのキーワードを使ってコピーを考える

STEP2で設定したターゲットに響くよう、LPに実際に載っているキーワードを使いながらコピー案を複数出していきます。

ここで大切なのは、LPに書いてあることの中から訴求を選ぶこと。バナーで勝手に魅力を作ってしまうと、クリック後に「そんなこと書いてないじゃん」というギャップが生まれて離脱に繋がるからです。

先ほどの案件では、ターゲット別にこんなコピーを考えました。

既存認知層向け: サービスを知っているが、新しい価格帯のプランが出たことを知らない人に向けて、「新プランが登場」という事実をストレートに訴求。LPのプラン概要セクションと直結するので、遷移後のギャップが少ない。

企業担当者向け: 導入時にネックになるのはライセンスの信頼性。LPにも記載されている「商業利用OK」という特徴を前面に出すことで、LPの該当セクションと自然に繋がるコミュニケーションに。

広く全般向け: 複数のプランがあることを知らない人に向けて、プランの選択肢と価格を提示。LPに遷移してもギャップが少なく、比較検討にスムーズに入れる。

1つのLPに対しても、ターゲットを変えれば訴求は複数出せる。しかもどれもLPに書いてあることの中から選んでいるので、クリック後に「話が違う」とはなりにくいんです。

STEP4:ビジュアルのトーンをLPに揃える

最後に、バナーのビジュアルをLPのトーンに合わせます。

LPがフォーマルで知的なデザインなら、バナーもその色合いやテイストを踏襲する。イラストを多用せず、サービスの特徴が伝わるビジュアルを主体にする。コピーだけ揃えてもビジュアルがちぐはぐだと、クリック前後の印象にギャップが出てしまいます。

先ほどの案件では、LPの配色(青・白を基調としたクリーンなデザイン)を踏襲しつつ、サービスそのものの魅力が伝わるようにイラストは最小限に抑えました。派手さはないけれど、LPとの世界観が統一されたことで、クリック後の違和感を減らせたと感じています。

コピー、ターゲット、ビジュアル。この3つがすべてLPから逆算されていることが、結果としてコンバージョン率の大きな差に繋がった。そう確信しています。

「何を伝えるか」より「どこへ連れていくか」

訴求案に迷ったときは「何を伝えるか?」よりも先に、"どこへ連れていくか?"から考えてみるのがおすすめです。

バナーの正解はひとつではないし、さまざまなアプローチがあります。でも、ゼロから考えるよりも、飛び先(LP)を起点に逆算して考えることで、訴求の方向性に一貫性が生まれ、軸がぶれにくくなる。

私自身もこの考え方を取り入れてから、「どうやって設計すればいいんだろう……」と悩む時間がぐっと減りましたし、フィードバックも受け取りやすくなりました。

もし今、バナーの設計に迷っているなら、まずは次の3つの問いを自分に投げかけてみてください。

バナー訴求に迷ったときのセルフチェック
  1. このバナーをクリックした人は、LPの最初の画面を見て「思った通りだ」と感じるか? クリエイティブと飛び先のコミュニケーションにズレがないかの確認。
  2. バナーで使っているキーワードは、LPにも書いてある内容か? 飛び先にない要素を訴求していないかの確認。
  3. バナーのビジュアルとLPの世界観は、同じ空気感か? トーン&マナーの整合性の確認。

この3つにすべて「はい」と答えられるなら、そのバナーはきっと成果に繋がりやすい設計になっているはずです。

まずは一度、LPをじっくり読み込んでみてください。そこからどうコミュニケーションを取ればいいかを考える。それだけで、訴求設計の手応えは変わってくると思います。

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