この記事は、先日の全社キックオフで社長の小山が社員に語った、企業理念と行動指針の説明です。 内容をほぼそのまま公開しているので、対外用に整える前の、アナグラムの"素の言葉"だと思ってください。
だいぶ長く、そして率直です。ですが、もしアナグラムに少しでも興味を持ってくださっているなら、私たちがどんな人と、どんな考え方で働きたいのかが、いちばん凝縮されている文章だと思います。
転職を考えていない方にとっても、自分の仕事のヒントになるかもしれません。
新しい企業理念・行動指針はこちら↓
はじめに
5月決算のアナグラムにとって、6月は新しい期のはじまりです。このタイミングで、企業理念と行動指針をリニューアルしました。
もしかしたら遠い話に聞こえるかもしれませんが、みなさんの目の前の仕事に直結する内容です。なるほどと感じるところもあれば、当たり前すぎてピンと来ないところもあるはずです。ぜひ、自分の仕事に結びつけながら読んでみてください。
言葉は、素敵な仲間を増やすためのものになり、日々現場で戦うなかでのお守りになり、中長期の仕事を積み上げるにあたっての軸にもなります。
私自身、新卒のときに言われてピンと来なかった言葉でも、あとから「自分の軸として機能していたんだな」と気づくことがありました。今の時点ではピンと来ない部分があったとしても、明日からの仕事に、知らず知らずのうちに役に立っているのかもしれない。そう思ってもらえるとうれしいです。
新しい企業理念
人と会社の個性を、勝てる力に変える
私たちは、関わる人と会社の個性を活かすことを大切にし、先々に広がるように勝たせる存在であります。
人も会社も、市場原理の中で勝ち、利益を出してはじめて、挑戦し、人を育み、活動を続けることができる。ただ、勝つことや利益を出すことは、必要条件であっても、目的そのものではない。人や会社、世の中の可能性が広がっていくような勝ち方こそが大切です。
新たな可能性は、それぞれの個性から生まれます。個性を活かすからこそ、熱意をもって工夫を重ね、実績と信頼を積み上げられる。人の個性を会社へ、会社の個性を市場へとつなげて、可能性を広げるような「勝てる力」に変えていきます。
ポイントは、クライアントのマーケティング支援で成果を出す考え方と、みなさん自身が活躍するための考え方は、根本が同じであるということです。
あえて「勝つ」という強い言葉を使っています。競合を打ち負かすという意味ではなく、市場に選ばれ、利益を出し、次の挑戦を続けられること——その積み重ねが人や会社、世の中の可能性を広げていく。そういう勝ち方を意味しています。
「会社の個性」というのは、要するにクライアントの事業や考えをしっかり理解するということです。みなさんも普段から意識していることだと思います。そのうえで、企業は選ばれなければならないので、きれいごとではなく、市場原理に向き合っていく必要があります。これはビジネスにおけるリーダーの必須条件でもあり、アナグラムを、このリテラシーが自然と身につく現場にしたいと考えています。
個人レベルの仕事も同じです。一人が本当に突出できる領域はごく限られていて、その突出をどう見つけて活かすかが人事の核心です。これはドラッカーの考え方にも通じます。
しかし、会社にしろ個人にしろ、どうしても平準化の方向へ向かいがちです。そうすると、おもしろい会社がつまらなくなり、才能ある人が抑え込まれてしまいます。アナグラムは、こういった人や会社の上振れを捕まえて価値に変えられる組織でありたい。
個性が活きるような仕事が見つかると、人はその仕事に自分なりの意味を見つけやすくなり、やりがいを持ち続けられる。やりがいがあると、熱意をもって工夫を重ねるから、ずば抜けた成果が生まれる。個性をベースにした仕事なので、それらが一貫性を持って積み上がり、いいブランディングにつながっていく。一人ひとり、一社一社が違うからこそ、細かなところまでくみ取り、より多くの人に、より深く貢献できます。
一般論的な解決ができてしまうAI時代、そして労働人口も減っていく日本のフェーズだからこそ、ここに根差してやっていくことがとても大切になっていくと考えています。
7つの行動指針
行動指針は次の7つです。これはストーリーになっていて、順番にも意味があります。
- 自分で決める
- 楽しむ
- 経営するつもりでのぞむ
- プロとして自律する
- 持ち味を活かす
- 配慮はしても遠慮はしない
- 先手を打つ
ひとつずつ見ていきます。
1. 自分で決める
前例やベストプラクティス、AIや専門家の提案をヒントとしながらも、状況に合わせた固有解をつくる勇気を持ちます。
物ごとの確かさよりも、早く小さく試し、結果から学ぶことを大切にする。試行錯誤を通して、新しい時代の正解をつくっていきます。
10年前とは違い、WEB広告が社会一般にかなり広まっています。つまり、これからは「リソースはないがリスティング広告を始めたい」というニーズだけではなく、「WEB広告は一通りやっているが、もっと成果を出していきたい」という企業が多くなっています。一般的なやり方を展開するだけではなく、そういったやり方を下敷きにしつつ、日本最先端の事例を作るような心持ちで取り組むことが大事です。アイデアは一朝一夕に出るものではありません。が、そのつもりで取り組まなければ、出てこない。
そのためには、早く小さく試すことが大事です。早いことも小さいことも、どちらが欠けてもいけません。「小さな成功という大きな失敗」という言葉があります。序盤で変に小さく成功体験を得てしまうと、小さくまとまって頭も固くなってしまう、という意味です。小さな成功に甘んじず、小さな失敗を繰り返していけるといいと思います。
2. 楽しむ
小さくても成果を出して手応えをつかみ、工夫を重ねて意味を持たせ、よりいい仕事を目指していきます。
楽しい方がいいし、楽しんでいる人には敵わない。自分なりのやり方が大きな成果を生み、仕組みと哲学まで高まったときに、エネルギーは伝播し、社会を動かす原動力になります。
「楽しむ」という項目は、以前の行動指針にもありましたね。仕事というのは、自分で決め、その決断によって成功するから楽しくなる、という順番なので、行動指針の順番も「自分で決める」→「楽しむ」という並びにしています。
広告運用やデザインは、自分で考えたことをすぐ形にでき、フィードバックも早いので、「自分で決める」→「楽しむ」の感覚を最短でつかみやすい仕事だと思います。
3. 経営するつもりでのぞむ
「自分が経営するとしたら?」から考えます。現状の価値は何で、どうありたいか? どこまでを目指して、ボトルネックは何か? ── 全体を俯瞰して向き合うことで、仕組みの妙を理解するとともに、現状維持への危機感を抱きます。
手元の仕事だけに閉じないからこそ、手元の仕事の次元を高められる。前提から疑い、真の課題を明らかにする。部分最適を相乗効果に変えて、全体として1+1が3になるような、いい仕事をしていきます。
「経営するつもりで」と言われると、なんだか難しそうに聞こえるかもしれません。本当に経営者がどういったことを考えているかは、なってみないと分からない部分もありますが、想像できる部分も大いにあります。分かろうとしなければ分かり得ないので、書いています。
クライアントのご支援をするときにも、先方の経営者と同じ温度感で仕事にのぞめば話がかみ合いますし、そこが合わないと、まったくお話にならないと思われることもあります。経営者と同じ目線で戦略を理解し、目の前の仕事に意味を持たせ、横の部署と協力したりしながら、クライアントの真の課題を解決できるようになってほしいです。
4. プロとして自律する
1人の力や専門領域の限界を理解して、相手や他の持ち場に敬意を持ちます。
1人でも立てる自立したプロフェッショナルが、1人で行き詰まらずに協力し合う「自律」をすることで、時代や状況の変化に先手を打つ真に強いチームであり続けます。
アナグラムは基本的に「一気通貫」の体制をとっています。しかし、クリエイティブ制作やシステム開発など、領域が広がるなかで、広告運用者とデザイナー・エンジニアといったプロ同士が協業する必要が出てくることもあります。
成果を出すために大事なことは、自分の役割や限界を知り、他の優秀な人に託すという発想をもつことです。自分で抱えすぎて行き詰まるというわけでもなく、かといって、部門ごとに島意識を過剰に持ってサイロ化するわけでもなく、円滑に協力しあえる体制が理想だと考えています。
5. 持ち味を活かす
知識や経験だけにとらわれすぎず、表面的な強みや弱みの奥にある持ち味を見ようとして、一人ひとり、一社一社の違いを観察します。
持ち味をプラスにつなぎ合わせます。「粗さ」は「身軽さ」、「狭さ」は「専門性」、「完璧主義」は「品質」として活かす。弱みの克服や効率化は大切にしつつも、さらにその先に、突き抜けたいい仕事を、一緒につくっていきます。
企業理念に記載した、「個性を活かす」に呼応する行動指針です。
みんな効率化・平準化・一般解・フレームワークが好きすぎるのですが、ここはAIで最も人に頼らなくてよくなる部分です。その奥にある示唆を探すことがとても大事になります。普通の枠組みで測れないからこそ、セッションに現れず効果計測できないからこそ、分かりにくくてみんな着手できないからこそ、価値があるのです。
他の誰もができないことをするには、何らか人と違った物の見方が必要です。属人的になることを恐れすぎずに、突出した仕事をしなければなりません。
プロとして持ち場で成果を出しつつ、自分自身やチームメンバー、自社がかかわるクライアントをよく理解してくると、「持ち味を活かす」ができるようになってきます。人や会社の持ち味を見つけて、活きる場所を見つける。それはマーケティングであり、人を育てることでもあります。
6. 配慮はしても遠慮はしない
言いにくい時代だからこそ、相手のためになる、本当の話をする。してもらったときは真摯に受け止めて今後に活かします。
相手と自分の未来を信じて、毎日のちょっとした言葉こそ大切にあつかい、言葉をいい方向にひとり歩きさせて、味方につけます。
「こんなこと言っていいのかな?」ということを思い切って伝えてみると、いい気づきになったり、議論のきっかけになったりします。言いにくいということは、それだけ核心を突いているからです。もちろん配慮は必要ですが。
こうした率直なフィードバックは、自分のキャリアにおいても、人を育てる局面においても大切になります。もちろん、率直に言うからには自分自身も厳しい意見に向き合う勇気を持たなければなりません。
これは、みなさんに「育てる側に回ってほしい」という話でもあります。アナグラムは人を育てる会社ですが、それを「育ててもらえる会社」とだけ受け取ってほしくはありません。育ててもらえる面がありつつ、自らが早々に育てる側に回ることも意識してほしい。後輩を、チームを、クライアントを。配置やアサインで持ち味を活かすのも、相手のためになる本当の話をするのも、どちらも人を育てることです。育てる側に立った瞬間に、見える景色が変わります。それが、一番の成長につながります。
「率直に言う」という表現を誤解して、単にロジカル意地悪マンのようになってほしくはないので、「配慮はしても遠慮はしない」としています。ありがたいフィードバックも、呪いの言葉も、言われた一言はずっと残って活き続けるものです。だからこそ、相手と自分の未来を信じて、言葉を紡いでいくことが大事だと考えています。
7. 先手を打つ
順調に見えるときこそ、起きうる問題をくまなく考えて、先手を打つ。忙しいときこそ、未来にむけて大きく考えて、大切なことに時間を割く。胃が痛いようなときこそ、真実に向き合い、全体構造をまずは自分自身から変える。
行動と結果の時間差を意識して動き、短期と長期を両立して、成果を出し続けます。
この項目は、これまでに書いてきた内容を具体的にリーダーシップにつなげる話です。
リーダーの仕事の核心は「好かれない意思決定」にあります。みんなが好んで役に立つ意思決定は、リーダーがいなくても勝手にできるからです。リスクがあり、すぐに報われず、しかし中長期でやるべき仕事を進める判断 ── 「好かれない意思決定」こそが、リーダーの価値の核心です。
これをひとことで言うと「先手を打つ」になります。みんなが日頃手を回そうとしない中長期の課題に向き合う。みんなが見ないふりをしたくなる真実に向き合う。まずは自分自身を変えて、伝播させていく。これが、自分自身を、クライアントを、自社を、落とし穴にはまらせることなく持続的に価値あるものにしていくことにつながります。
さいごに
企業理念も行動指針も、実は「経営人材の育成」を意識したものになっています。
なぜなら、経営人材的な視点はクライアント価値に直結しますし、AI時代に活躍できる人材の要件でもあるからです。また、グループ全体の成長という面でも、経営視点をもつ人材を育てていくことが非常に重要ですし、そのような人材は、積極的に登用していきたいと考えています。
「経営人材」というと遠い話に聞こえるかもしれませんが、入り口はすごくシンプルです。まずは自分で決めて、楽しむ。それだけでいい。楽しんで小さな成果が出ると、全体の成果に正しくつなげるために、全体を見ようとする。全体が見えてくると、自分の強みも限界も見えてくる。すると、まわりの人の持ち味が見えてくる。持ち味が見えたら、相手のために本当の話ができる。そこまで来たら、あとは先手を打つだけ。この流れを、それぞれの持ち場で回していってください。
人は、ちょっとかみ合わせが悪いと全然動けません。そういう意味で、万能な活躍は期待していません。役割やタイミング次第では、急にポンコツになるものです。逆に、ちょっとしたリフレーミングと、配置やアサインを変えるだけで、見違えるようにガラッと活躍できることも多い。私自身、飲食店のバイトは声も小さいし動けないし、てんでダメでした。
人の強みを見いだし、マッチングを工夫したり、仕事を作り出して人を活躍させたりするのは、マネジメントの醍醐味であり、マーケティング的な思考の延長にあると考えています。
そういう意味で、私は「人がいつでも活躍できる」とは信じていませんが、「誰しも活躍しうる」とは信じています。こういった信念をもとに、人と会社の個性を、勝てる力に変えていけたらと思います。



