
その後、2014年アナグラムに入社。現在はマネージャーとして社内の問い合わせや案件のコンサルタント、マネジメントなどを兼務しています。語彙力豊かな語り口が特徴。お酒は大好きだが、スピーディーに酔いつぶれていく。漫画・サブカル・インターネットが大好き。社内外から一緒に仕事したいと厚い信頼がある森野さんにその極意を聞きました。
―森野さんが今まで携わってきたお仕事について聞かせてください。
物を書いて表現するのが好きだったので、新卒では雑誌の編集者をしていました。ゲーム攻略本やテーマパークの本などの編集・ライティングに携わり、好きな仕事を楽しんでやってました。ただ、皆さんご存じの通りインターネットの普及によりゲームの攻略本って全然売れなくなったんです。加えて当時は1日20時間以上仕事をしている生活だったので、そのうち体に何か起こりそうと思い転職を決意しました。
2社目も「書く仕事」がしたいと思って、そこでたどり着いたのが、海外雑貨の輸入販売をする商社だったんです。ちょうど「販売経路を紙のカタログからウェブに移そう」というタイミングで、社長から「森野さん、器用そうだからWEB全部やってよ」と言われて。右も左も分からない状態からサイトの立ち上げ・システム構築・粗利計算・SEO対策・商品撮影・デザイナーさんへの指示出し…など、ググったり問い合わせしたりしながら何とかやり遂げました。
この時の体験が割と今のベースになっていますね。自社のWEBサイトが育っていく過程を見れたことは貴重な体験でしたが、もう一度やれと言われると…できるかな? ノーコメントで(笑)
―仕入れから販促まで一手に任されていたんですね!想像するだけで大変そうです。その中でのおもしろさはなんでしたか?
ユーザーの行動や結果がデータで見えるのは、すごくおもしろかったです。例えばサプリ商材だと、悩みが深刻な人ほど「成分名」までちゃんと調べてサイトにやってくるんですよ。海外サプリの強みのひとつに成分の含有量が多いことがあって、成分名+含有量を商品ページやタイトルタグに反映させただけで、売上が爆増するという経験もしました。どれも紙媒体ではなかなかできない経験でアドレナリンがめちゃくちゃ出ましたね。数字で施策の結果が見れるってこんなにおもしろいのか!と。

―数字を分析して、次のアクションにつなげる。今のお仕事にも近いですよね。そこからどのようなきっかけで代理店に転職されたのでしょうか。
30歳手前ごろに「自分はどれくらい仕事ができるのか? 自信を持って一本立ちできているのか?」と疑問を抱くようになったんです。今の会社ではそれなりに評価いただいている気もするけど、もし社会に放り出されたときにどうなんだろうと。
―成果もだし、やりきったからこそ次のステップが見えてきたんですね。
現状維持してちゃだめだと思いましたね。当時業務は星の数ほどありました。その中で「データから仮説をたて、それが当たったとき」が一番ワクワクしていることに気づいたんです。最初にGoogle アドワーズ(現:Google 広告)を出稿したときは、「自分が作った広告を、100人もクリックしてくれた!!」と興奮したのを覚えています。100クリックで興奮していたので、購入されたときにはもう、興奮を通り越して感動。その体験もあり、運用型広告の仕事をやってみたいと思ってWEB広告代理店への転職を決意しました。
―そこから本格的に運用型広告の世界へ足を踏み入れたのですね。前職で近しいことされていたのですぐに慣れましたか。
さっぱりですね。「私はなにも知らなかった」と痛感しました。レガシーな企業からIT企業への転職ということで、まず、周りの会話が全く分からない。CTR?CPC?プライオリティ?それはなんですか、役職の一種ですかと、とまどいを超えて怒りすら感じましたよ(笑)完全に知らない自分が悪いんですけどね。ただその経験から、お客さんの前では、わかりやすい言葉を使おうと強く誓いました。
最初の一ヶ月は、分からない言葉をメモして調べる毎日。打ち合わせのたびに大量に出てくるので、とにかくメモしてその日中に調べて理解することを徹底していました。
次に現れた試練は、数値というプレッシャーです。ぼくが引き継いだ途端に数字が落ちた案件があって……。とにかく成果を戻すため必死に数字と向き合いました。苦しかったですが、きちんと仮説を立てて施策を実行し、こちらから真摯に向き合えば数字もそれに答えてくれる。たまにそっぽ向かれることもありますが。人間関係と似ているなと思いましたね。
―まさかの人間関係(笑)そこからアナグラムとの出会いはどのようなものでしたか?
当時、WEB広告がTV広告に追いつけ追い越せでどんどん勢いを増していて、アップデートも多い中で阿部さんのブログ『SEM LABO』が唯一の心の支えになっていました。SEM LABOには媒体の仕様説明だけでなく、お客さん視点に立った本質的なマーケティングの記述も多く、そこにすごく共感していました。広告って誰にどのようなメッセージを届けるかが重要なのですが、それがブログの記事からしっかり伝わってきたんですよね。運用型広告の仕事はすごく好きだったので、この業界でより刺激のある環境に身を置きたいと思いアナグラムに転職しました。
―アナグラムに転職して、変わったことはありますか?
前職では営業と広告運用を分ける分業体制を取っていたので、お客さんの反応がわかりにくかった。一方アナグラムでは、一人が営業もコンサルタントも担い、お客さんと直接やり取りができます。成果を伸ばしたら「ありがとう」とダイレクトに言ってもらえるのが嬉しかったですね。
広告運用だけでなくクライアントさんと直接コミュニケーションを取るようになったことで、「世間が求めること」と「クライアントさんが実現可能なこと」の最大公約数を提案できるようにもなったかなと思います。100クリックに興奮していたころと比べると少しは進歩できたかなぁと(笑)

―森野さんは、誰とでも柔軟にコミュニケーションがとれ、多方面から信頼が厚い印象です。なにか意識的にしていることはありますか。
そうですか、ありがとうございます。でもぼく、めっちゃ短気でイライラしやすいんですよ(笑)質問に的確に返答してくれなかったり、コミュニケーションがスムーズでないとすぐストレスに感じちゃうこともあります。「自分だったらこう返答するのに!なぜ聞いたことに答えてくれないんだ!」と思うことも多々ありました。だからこそ相手にストレスが掛からない・時間を奪わないコミュニケーションをしようと強く意識しています。
沸点の低い自分を仮想顧客に見立てて、「こいつとは仕事しやすい」と自分が喜ぶような、スピードと的確さを意識したコミュニケーションを心がけていたら、周囲の人から「仕事しやすい」と言われるようになってきましたね。
―これまでマネジメント側として多くの方を見てきたかと思います。その中で活躍する人はどのようなひとだと思いますか。
企業のフェーズや体制と市場状況を見渡して、今何をすべきか、これからどこへ向かうべきかの現実的なプロモーション案を、スピーディーに提案・実行できるひとは輝き続けると思います。
ここ数年で事業主側のビジネス形態も多様化してきました。それと同時に、プロモーションの方法もいろんな選択肢がありますよね。選択肢が増えたからこそ迷ってしまう状況があり、流行りの手段や優先度が低いところにもあれこれ手を出してしまう場合もあります。
数字のエビデンスがないと動けないのではスピードが遅くなってしまう。社会の変化の波に乗って、未来を構想しながら仮説を持って行動できる。従来の方法も大事にしつつ、新しい領域にもチャレンジする。そんな取り組みをできる方が重宝されていくと思います。代理店側でも事業主側でもこの能力は変わらないと思いますね。

―さいごに、どんな人と一緒に働きたいですか。
「ちゃんと質問するひと」ですね。成長する要素としてすごく大事だと感じています。自学習はもちろん必要ですが、ブログやヘルプを読むだけだと限界があります。不明点を不明点として認識し、ちゃんと質問して腹落ちさせ、具体的に自分だったらどう役に立てていくかを考えて行動できる人と働きたいなと思っています。せっかく会社というチームにいるんですから、使えるものは何でも使った方が得ですよね。
あと、「好き嫌いしないひと」も結果的には仕事をより楽しめると思いますよ。具体的には、機会があるならやってみたいとガンガン手を挙げてくれる人。誤解を恐れずにいうと、成長にしんどい・苦しい・めんどくさいといった負荷は絶対必要だとぼくは思います。強制はしませんけどね。
自分の実力では少し足りなさそうな高いレベルの仕事に挑戦するとか、知見がない新しい領域に踏み出すという負荷は、その時は苦しく感じることも多いです。ぼくも冷汗をたくさんかきましたし、渦中のときは「なんでこの仕事受けちゃったんだ」と悶える夜も多々あったり。ただ半年後には「やってよかったな」と思えることが大半だし、できることや選択肢が増えるってシンプルに素敵じゃないですか。私もサポートしますし、他にもサポートしてくれる頼もしいメンバーが社内にたくさんいますから。どんどんチャレンジして世界を広げていってもらえると楽しいかなと思います。
編集後記
一口に「信頼」といっても様々な要素があります。信頼があるから仕事を任せられたり成果を出し続けることが出来るのだと思います。体験から学び、いつになっても挑戦をしている森野さんを私はすごく尊敬しています。信頼を前提に成長する組織を作っていきたいと強く思えるインタビューでした。