「目の前の仕事に真剣に取り組め。取り組んだ先には次の仕事が待っている。」元一人親方が語る仕事への想い
頼りがいのあるアニキ的な存在としてクルーから厚い信頼を得ている立原さん。困っている時に救いの手を差し伸べてくれるなど、その気付きの速さと正確さにメンバー一同いつも助けられています。現在はチームリーダーとしてクルーを牽引する立原さんですが、ベンチャー企業の営業・開発会社の立ち上げ・電気工事士を経てほぼ未経験から参画。今回のインタビューでは18歳の頃まで遡っていき、アナグラムに入社するまでの心境や仕事論からマネジメント論まで詳しくお話を伺いました。

――大学を半年で辞めてまでベンチャー企業の営業として働いていたということですが、立原さんの中に何か想いがあったのですか?

東京の大学に行けば地元では出会えないような人と会えると思い大学に入学したのですが、理想と現実のギャップが大きすぎて正直この人たちと4年間一緒に過ごすことは厳しいなと思いました。当時は大学に行って学問を学びたいというよりも、早く社会に出たい思いでいっぱいでしたね。その後ベンチャー企業の社長と出会い、そこで営業として働かせてもらうことになったんです。

はじめは絶対に1位を取ってみせると思って営業をしていました。営業って自分の成果が数字でハッキリ分かるし、成長する過程が目に見えて分かるので面白いじゃないですか。でも実際に1位を取った時「あれ...こんなものか?意外と大したことないな」と思ってしまったんです。当時はまだ未熟で自分の成長ばかりフォーカスしすぎていたので、これからは誰かの役に立つことをしてみたいって思い始めるようになりましたね。

――自身の成長だけでなく、社会の問題解決に目を向けるようになったんですね。

僕は引越しが好きで1-2年で引っ越すのですが、内見で1,2日時間が奪われるのが嫌でウェブで内覧できたらいいなと思っていました。今でこそVRやストリートビューは当たり前に存在していますが、6年前はそもそも市場が盛り上がっていなかったので無いなら開発してしまおうと20歳の頃に開発会社の立ち上げを始めました。

――すごい...筆者が20歳のころは起業という言葉すら出てこなかったです。

意外と反響があったのですが、色々あって2年ぐらいで畳むことになって...。今まで生きていた中で一番辛かった時期でした。

――それはなかなか大変でしたね...。その後はどうされたんですか?

正直言うと疲れていて休みたかった気持ちもあったのですが、高校で電気を専攻していて電気工事士の資格を持っていたので電気工事の会社に入社して、その後1年ぐらいで独立して一人親方を始めることにしました。

――一人親方とはどのような仕事を?

施工会社から会社を通さずに直接依頼を受けていました。オフィスの改修をしたり、電気の配線を変えたり。当時はLEDのバイパス工事があって国が省エネを推奨していたこともあり、蛍光灯をLEDに変える仕事が多かったですね。領収書を集めて確定申告するまで、全て自分でやっていました。

――電気工事士としての仕事がかなり順調だったように思えますが、そこからどうしてウェブの業界に飛び込んだのですか?

電気工事士の仕事って脚立から落ちたら死ぬんですよ。まだまだやりたいことが沢山あるので不慮の事故が起こるリスクを避けようと思ったんです。ウェブに関係する仕事には憧れがあって、実際にやってみようと電気工事士の仕事と並行して独学でアフィリエイトやSEOにも取り組みはじめました。

月数千円を稼ぐことも難しい風潮のなかで、なんとか月10万円以上稼ぐことが出来てウェブの面白さを実感しました。0からホームページを作り上げ外注のライターも雇って、検索結果の上位表示を狙った記事を作ったらメディアが成長してすごく楽しかったですね。

メディアが育っていく過程で広告運用にも興味をもって取り組んでみました。SEOはどうしてもPDCAのサイクルを中〜長期間でまわすことになってしまいますが、運用型広告だと次の日に結果もわかりますし、短期間のPDCAのサイクルを回すことができる。これがSEOにはない面白さだなと思ってたのですが、広告運用だけが全然思うようにいかなかったんです。

――それで運用型広告を学びたいと思ったのですね!

運用型広告の仕組みを活用すればお客さんがどんなことを考えてどんな行動を起こすのか想像がつくと思ったのですが、当時は知る術が無かったので、広告代理店に入ろうと転職活動を始めました。アフィリエイターの友人に「運用型広告ならアナグラムがオススメ」と紹介をいただき、そこで初めてアナグラムの存在を知りました。

これまでと全く違う業界なので、一応、ほかの会社も5社ほど選考を受けてみたりもしましたね。でも、アナグラムの面接はすごく試されている感じがあり他社と違う雰囲気だったんです。「あなたならこのペットボトルをどうやって売りますか?」と質問された時はすごく驚きました。

――その質問に対して、立原さんはどのように答えたのですか?

まずペットボトルの中身は水なので日用消費財ですよね。消費財はWEBを通してダイレクトレスポンスを図るより、実店舗の陳列棚で選んでもらうマス向けのブランディングが向いているものです。WEBを通して販促活動をするのであれば、お客さんにも反応してもらい拡散してもらうUGCが生まれる施策が良いと考えました。

当時、水のフレーバーの種類はそんなに無かったんですね。「水のフレーバーの種類をソーシャルで募集して盛り上げて、募集していただいた案の中で新しいフレーバーを出します。」と言いました。

――The マーケティング思考!立原さんが入社してから1年後、実際にある会社がまさに同じようなことをやっていましたよね。面接では他にどのようなことを意識していました?

面接は自分を作り上げてもあまり意味なくて、正直に自分を伝えることが大切だと思いました。実はアフィリエイトをやっていたことを隠していたのですが、当時の面接官が掘り下げてくれて、今までやってきたことを受け入れてもらえたのが嬉しかったです。

――入社当時に印象に残っているエピソードや、頑張ったことを聞きたいです。

会社がかなり静かだったのが衝撃でしたね。僕はもともとコミュニケーションを取りながら進める仕事が多かったので、チャット上で会話を進める文化に戸惑いました。入社した初日から当時の上司と飲みに行ったんですよね。その時に期待しているよと言われたのがとても嬉しかったです。

アナグラムは常に100%を求めるのですが、上司は平気で120%を求めてくるんですよ。最初は驚いたけど、より良くするためにそうしているんだなって気づいてからはそれに応えようと思って仕事に取り組んでいました。それ以来、僕はどんな仕事が降りかかってきてもNOと言ったことは一度も無いです。正直言って、過去の体験の方が苦しかったですからね。

とはいえ、周りは才能だったり知恵がある人ばかりで初めはとてもハードルを感じました。だから才能や知恵は彼らには敵わないけど、自分にはやり抜く力があると思って目の前の仕事に真剣に取り組んでいました。このやり方が必ずしも正しいことかどうかは分かりませんが、前職の現場では仕事のやり方なんて誰も教えてくれなかったので、仕事は見て盗むものだと思っていました。その中でほぼ無意識にアカウントを毎日見ていましたね。意識的に何か勉強していたかと言うとそうではなかったです。

――立原さんは当たり前のレベルが非常に高いですよね。情報を取らない選択肢も取ることが出来るのにも関わらず、プレイヤーとして積極的に知識を吸収しようとする姿が窺えます。そんな立原さんだからこそ、入社して2年であっという間にチームリーダーになりましたね。チームリーダーとして意識していることはありますか?

チームのメンバーには自分の頭で考えて動けるようになってほしいので、思考の可能性を潰さないようにいきなり答えを伝えるのではなく、答えに導くことを意識しています。答えを先に教えてしまうと、自分でやってきた経験や失敗じゃないから本人の身にならない。勿論フォローはしますが、クライアントさんにご迷惑をかけることや広告運用の成果に関わらない失敗をしてもいい場面は何も指摘せずに失敗を経験させています。

――チームリーダーとして採用も経験していますよね。アナグラムとしての基準もありますが、立原さんはどんな人と一緒に働きたいですか?

やっぱり素直な人と一緒に働きたいですね。素直というのは全てを鵜呑みにするのではなくて、ミスがあれば隠さず報告するし、過去に言ったことや基本的な納期を守ると言った基本的なことです。

実績が無く、何者でもない状況で自分の個性を出したいと思っている人もいるかも知れないですけど、まずは個性よりも大事なものがあります。ちゃんと言われたことを守る。まずは与えられた仕事に真剣に取り組む。仕事で成果を出せば選択肢は自然と広がっていきます。弊社に限ったことではないですが、最初は守破離の"守"の部分を大切にしてもらいたいと思います。

ただ人にはそれぞれできる・できないという分野があります。会社が求める成果や仕事ができないから悪いじゃなくて、できるようにマネジメント側から仕組みを整えてあげないといけない。自分の苦手なことやできないものを克服するには胆力が必要ですが、できない部分をこちらで補うことが僕の仕事なので、自分自身の課題に向き合い愚直に取り組むことができる素直さがあると良いと考えています。

現在僕が担当しているメンバーは4人いて、それぞれ僕には無い良いものを持っているので日々気づきを得ています。おそらく1年後には社内で活躍するメンバーなのでチャンスを与え続けていきたいです。実際に、クルー達からこの案件をやりたいという声が沢山ありますし、僕としてもメンバーのスキルや課題に合わせて仕事を振ることが会社やメンバーの成長に繋がると考えているので、やりたいという気持ちに応えてあげられるように、昔は取り組まなかったコンペにも積極的に挑戦するようにしています。

――失敗体験だけでなく、成功体験もたくさん積んでもらいたいと。

そうですね。これは僕の持論なのですが、ある一定の時間をかければどんなことも大抵上手くいくんですよ。その面白さを味わえると、次の壁に当たったとしても、成功体験が既にあるから出来そうな感じがする。僕も入社1年目はクライアントに上手に話すことはできなかったのですが、新規の案件を受注できたり経験を積み重ねることで上手に話せるようになりました。小さな成功体験が積み重なれば、大きな自信に繋がっていくんです。

うちのコミュニケーションはほとんどslackだし、結構ドライな会社じゃないですか。新卒の子は1年目の最初の上司である程度仕事に対する考え方が決まってしまうと思うんですよ。僕が人の人生を左右してしまうところがあるので、ビジネスライクではなくて心を開いてなるべく寄り添うようにしています。仕事だけじゃなくてプライベートでの悩みとかも真剣に向き合っていますし、相談してもらえることが何より嬉しいですね。

コミュニケーションもビジネスも一緒。物を売るのもクライアントワークも人間の心を動かすものじゃないですか。チームの中でのコミュニケーションもそういったところを大切にしています。

編集後記

私たちが努力してやっていることを、頑張っているという自覚すらなく無意識にやっている人がいます。立原さんも含めて彼らは総じて当たり前のレベルが高いのですが、当たり前すぎるが故に本人から努力してきたという言葉は出てきません。今回の取材ではプレイヤーとして自身の成長を貪欲に追い求めていく姿勢がひしひしと伝わってきました。

その一方で、マネジメント側では些細なところまで気にかけながらチームが成長するために行動し続けています。今後もクルーに仕事をどんどん任せていくそうです。そして成長する過程を見るのが楽しみだと仰っています。立原さんの仕事やクルーに対する深い愛情が感じられた取材でした。