2018年6月20日に、Yahoo!プロモーション広告のディスプレイアドネットワーク(以下、YDN)のコンバージョンの最適化に関するアップデートが実施されました。
参考:【YDN】コンバージョン最適化やコンバージョン測定などの機能改善について - Yahoo!プロモーション広告
今回のアップデートでは、コンバージョンの最適化が広告グループ単位で設定できるようになり、コンバージョン最適化の対象も柔軟に設定できるようになるなど、YDNにおいてもよりコンバージョンの最適化が使いやすくなるアップデートとなっています。
YDNにおけるコンバージョン最適化の設定を振り返りつつ、変更点を解説します。
目次
コンバージョンの最適化とは?
YDNにおいてコンバージョンの最適化とは、目標として設定したコンバージョン単価を維持しながら、できるだけ多くのコンバージョンを獲得できるように入札の調整を自動で行う機能です。自動入札とも呼ばれます。
過去の入札やコンバージョンしたデータなどをもとに自動で入札を行うため、直近30日間に15コンバージョン以上獲得していることが必要となります。
広告グループ単位でもコンバージョン最適化を設定可能に
今回のアップデートによって、従来はキャンペーン単位でしか設定できなかったコンバージョン最適化(自動入札)が広告グループ単位でも設定できるようになりました。
これにより、特定の広告グループだけにコンバージョン最適化を適用したり、自動入札を設定しているキャンペーン配下の特定の広告グループだけコンバージョン単価の目標値を変えたりなど、より柔軟にコンバージョンの最適化を使えるようになったと言えますね。
「コンバージョン列に含める/含めない」を選択可能に
YDNの「ツール」メニューの「コンバージョン測定」の内容で、作成したコンバージョンの設定の中に、『コンバージョン列に含める』という項目が追加されました。この項目の名称だけ見るとわかりにくいのですが、コンバージョン最適化対象として含めるか含めないかを選択するものとなります。
まだ、わかりにくいと思いますので、ECサイトを例に説明しますね。
例えば、あるECサイトの広告配信において、「カートへの追加」「商品購入」というようにYDNのコンバージョンポイントを作成し、カートへの追加ページと商品購入後のサンキューページにそれぞれコンバージョンタグを設定していたとします。あくまで目標は商品購入数を増やすことで、カートへの追加はユーザー行動を把握するためのサブの指標という位置づけです。
この状態でコンバージョンの最適化(自動入札)を使用すると、従来のコンバージョン最適化では「カートへの追加」と「商品購入」を“区別なく”両方の数を増やすように入札の調整が行われていました。そのため、例えば、本来であれば、目標の「商品購入」を増やしたいはずが、「カートへの追加」だけ増えて、「商品購入」が増えにくいといったことが起こり得たのです。
それが、今回の『コンバージョン列に含める/含めない』を選択できるようになったことで、数を増やしたいコンバージョンを選べるようになりました。
上記の例では、「商品購入」ではコンバージョン列に“含める”を設定し、「カートへの追加」はコンバージョン列に“含めない”を設定すれば、「カートへの追加」はコンバージョン最適化に利用されません。
コンバージョン列の活用方法についてはこちらの記事で紹介していますので、合わせてご参照ください。
新たにコンバージョンの計測指標が追加
「コンバージョン列に含める/含めない」の設定に伴って、新たに測定指標も追加されています。
従来はコンバージョン列の区別がなかったので、コンバージョン数にすべてのコンバージョンがカウントされていましたが、コンバージョン列の区別ができたので、新たに「すべてのコンバージョン数」が指標として追加されています。
※表示項目で選択しないと「すべてのコンバージョン数」は表示されません
「コンバージョン数」はコンバージョン列に含まれているコンバージョンのみの数となり、「すべてのコンバージョン数」はコンバージョン列に含めないコンバージョンも合わせたすべてのコンバージョン数となります。
イメージしにくいと思うので、こちらでも、「カートへの追加」と「商品購入」のコンバージョンを例にすると、上の表の通り、コンバージョン数の数字が変わります。
測定指標を見る際には、コンバージョン列に含めているか含めていないかで数値が変わるので、うっかりと見間違えていたということがない様に気を付けたいですね。
なお、コンバージョン名ごとの内訳を確認する方法は、レポート設定時に「表示切替」で「コンバージョン名」を選択する必要があります。
コンバージョンの計測方法(毎回/初回のみ)を追加
こちらもYDNの「ツール」メニューの「コンバージョン測定」の内容で、「計測方法」という項目が追加されました。
「初回のみ」では同一ユーザーによる複数のコンバージョンが発生した場合は初回のみを1回として計上しますが、「毎回」とすると、同一ユーザーによる複数のコンバージョンをすべて計上します。
購入するユーザーを増やしたいのであれば「初回のみ」に設定して、リピーターを含め、購入回数を増やしたいのであれば「毎回」に設定するなど、広告の目的に合わせて設定を可能です。
項目名の名称変更
今回のアップデートでは測定指標など一部の項目での名称変更も行われました。
これまでコンバージョン測定で設定していた「1コンバージョンあたりの売上金額」という項目の名称が、「1コンバージョンあたりの価値」と変更になりました。
「売上」という表現を使っていたものを「価値」という表現に変更したものとなりますね。
これに合わせて、測定指標などで「合計売上金額」や「売上/コンバージョン数」などと表現されていた項目が、「コンバージョンの価値」「価値/コンバージョン数」などと表示が変わっています。
また、「1コンバージョンあたりの売上金額」という名称が、「1コンバージョンあたりの価値」に変更されたことに伴って、コンバージョン測定タグで売上を表していた“yahoo_ydn_conv_amount”が”yahoo_yadn_conv_value”と変更になっています。変更前から計測で使用しているものはそのまま使えるとのことですので、急いで変更する必要はありません。
その他にも今回の変更により、管理画面の表示項目やインポート用テンプレートの変更、キャンペーンエディターも改修が加えられておりますので、詳細は以下よりご確認ください。
参考:【YDN】コンバージョン最適化やコンバージョン測定などの機能改善について - Yahoo!プロモーション広告
まとめ
今回のアップデートでYDNのコンバージョン最適化(自動入札)がより使いやすくなりました。コンバージョン数がある程度獲得できているキャンペーンや広告グループがあれば、これを機会にコンバージョン最適化の導入を検討するのもいいかもしれませんね。
ただ、あくまでコンバージョンの最適化に必要なデータ量は変わりませんので、十分な情報があるかには気を配って利用する必要があります。また、時期的要因に左右されやすい商材や頻繁なセールによる獲得変動が大きい商材など、商材によってコンバージョンの最適化に不向きな場合もあります。
コンバージョンの最適化は万能なものではないので、商材との相性やコンバージョンの獲得状況を考慮しつつ、適切に使うことを心がけましょう。