Yahoo!ディスプレイアドネットワーク(以下YDN)では2019年2月より「動的ディスプレイ広告」の提供を広告代理店経由のアカウントのみで開始しています。
参考:YDNで動的ディスプレイ広告(Dynamic Ads for Display)の提供を開始
ただし、YDNの動的ディスプレイ広告は、広告配信に必要な「商品リスト」をアップロードするにはサードパーティーのデータフィードツールを利用する、あるいはAPIを利用する必要がありどの広告主でもすぐに活用しはじめることができるわけではありませんでした。
今回、4月19日に行われた機能改善により、商品リストを広告管理ツールやキャンペーンエディターからから直接アップロードも可能となりました。
参考:YDN 動的ディスプレイ広告の機能改善完了のお知らせ|Developer Center - Yahoo! JAPAN プロモーション広告
目次
広告管理ツール経由でのアップロード方法
YDNの「ツール」一覧より「商品リスト管理」を開きます。
「商品リストのアップロード」より、ZIP形式かTSV形式のファイルをアップロードすることができます。また、フィードのテンプレートは右の「商品リスト用テンプレートのダウンロード(TSV)」よりダウンロードできます。
商品リストの作成ルール
さらに、商品リストは次のルールで作成する必要があります。
- 20MB以内(管理画面経由の場合)
- アップロードは1日4回まで
- 商品数は10万件まで
- 文字コードはUTF-8
- 改行コードはLF
- 区切り文字はタブ
- 圧縮形式はZIP
これらのルールを守れていないと、「取り込み状況」の欄に「ファイルフォーマットエラー」と表示され、商品リストのアップロードがされません。しかも、「ファイルフォーマットエラー」でアップロードされなかった場合も、「アップロードが1回」としてカウントされてしまいます。1日4回までしかアップロードができないので、実際にアップロードする前にエラーが無いか、確認したいですよね。そこで利用するのが「エラーチェックモード」です。
エラーチェックモードで商品リストを事前チェック
エラーチェックモードは、商品リストのエラーチェックのみを行える機能で、この場合はアップロードにカウントされません。
「商品リストのアップロード」欄で、「エラーチェックモード」の左にあるチェックボックスにチェック入れたうえでファイルをアップロードすることで、この機能を利用できます。
エラーチェックモードで用意した商品リストがフォーマットを守れていると、「取り込み状況」の欄に「完了」と表示され、エラーの件数とエラー率が表の中央付近に表示されます。修正したい場合は「エラー情報のダウンロード」よりtsvファイルをダウンロードし、エラーの理由を確認しましょう。
エラーを十分に修正できたら、「エラーチェックモード」にチェックを入れずにアップロードしましょう。
商品リストがアップロードされるとYahoo!側の審査に入ります。審査が終わると、アップロードした商品リストに基づいて、動的ディスプレイ広告の配信が可能となります。
外部ファイルを利用した定期アップロードの手順
先ほどは手動でのアップロード方法を紹介いたしました。
ただ、商品を頻繁に入れ替えなければならない場合は、毎回手動でアップロードするわけにはいきませんよね。今回のアップデートでは、外部ファイルを取り込んでの定期アップロードも、管理画面から可能になっています。
まず、「商品リストのアップロード」下部の「設定」を選択します。すると、定期アップロードの登録に必要な項目が表示されます。
定期アップロードの設定に必要な項目は以下の通りです。
設定項目 |
説明 |
商品リストファイルのURL |
商品リストファイルの取得元となるURLです。 |
ユーザー名 |
商品リストファイルにアクセスする際に必要なユーザー名です |
パスワード |
商品リストファイルにアクセスする際に必要なパスワードです |
取り込み種別 |
全件更新では全ての商品リストがアップロードされます。 部分更新では新しく変更された商品だけがアップロードされます。 |
スケジュール |
定期アップロードの頻度を設定できます。時間、毎日、毎週の3つの単位を指定できます。一定の間隔で更新するなら、「 ○○時間おき」「毎日 ○○時」のように、データベースの更新頻度にあわせて設定できます。 |
ステータス |
定期アップロードの有効、無効を設定できます。 |
ただし、商品リストに対し思わぬエラーなどが生じる可能性もあるため、一度は手動でアップロードしてみて、フィードが使用できることを確認することをおすすめします。
商品リストのエラーと審査期間に注意
先ほども言及しましたが、管理ツール経由のアップデートは1日4回までと定められています(2019年4月26日現在)。
また、文字コードのみならず改行コードまで定められていたりと、やや商品リストの指定が厳しいものになっています。データフィードを作成する際は、規則をよく読みましょう。ちなみに、筆者は「説明文」の欄に改行を用いていたことが原因で、何回もエラーを経験しました。
さらに、アップロードしてからフィードが審査を受けるので、アップロードしてすぐに配信をスタートできるわけではありません。また、YDN動的ディスプレイ広告は、承認されたフィードが無い状態ではキャンペーン作成に移れません。施策に取り入れる際には、ゆとりをもって準備しておくと良いでしょう。
より柔軟な広告運用が可能になる2つの機能追加
今回のアップデートでは、商品リストの管理ツールへの直接アップロードのほかにも、動的ディスプレイ広告をより柔軟に運用するためのアップデートがなされました。
商品セット機能の追加
商品リストファイルでアップロードした商品情報を次のいずれの情報で絞り込み、「商品セット」を作成することができます。
- カテゴリーID
- 在庫数
- 価格
- セール価格
- 評価
- 評価件数
- バッジ種別
作成した広告セットは広告グループに1つ設定が可能です。上図のように、一定以上の「価格」を条件にしたり、商品リストとサイトリターゲティングタグに追加した任意の「カテゴリーID」を指定したりと、商品リストから特定の商品群をピックアップできます。広告グループに紐付けられた商品セットごとに入札や広告文を変更することが可能となります。
現状は広告セットを作成する際の条件は限られていますが、ゆくゆくは任意の情報が設定できるGoogleのショッピング広告の「カスタムラベル」などように、もう少し柔軟な条件も追加されることを期待したいですね。
APIの機能追加
また、API経由のアップロードも引き続き可能です。さらに以下の機能が追加されました。
機能名 |
概要 |
FeedFtpService |
定期アップロードで利用するサーバーの情報を登録、更新します。 |
FeedFtpRequestService |
定期アップロードの即時実行リクエストを登録します。 |
FeedSetService |
商品セットを作成、追加、削除します。 |
API経由での定期アップロードがさらに便利になるうえ、こちらからでも商品セットを利用した管理が可能になります。
導入のハードルが下がり目にする機会も増えるかも?
商品リストを広告管理ツールやキャンペーンエディターからアップロードできるようになったことで、これまでデータフィードツールを使っていない広告主でも出稿ができるようになりました。また、まずはテスト的に配信をしてみたい、などの要望にも応えられるようになりましたね。
まだ動的ディスプレイ広告を目にすることは多くはありませんが、他の広告媒体のダイナミック広告で成果が出ているのに、YDNでは商品リストの直接アップロードができないことが導入のハードルとなっていた場合は、ぜひ今回の方法での実施を検討してみてくださいね。