Yahoo! JAPANは、Yahoo!プロモーション広告の広告掲載基準の一部変更を1月7日より適用開始しています。
参考:広告掲載基準変更のお知らせ(2019/1/7適用開始) - Yahoo!プロモーション広告
今回、変更の対象となったのは、医療広告のうち自由診療における掲載基準です。では、変更の詳細を見ていきましょう。
公的医療保険に関する文言を削除
ヤフーは医療機関の広告において、通常の広告掲載基準に加えて業界独自の掲載基準を設けています。今回の変更は、その部分に変更がありました。
第5章 業種、商品、サービスごとの掲載基準があるもの > 12. 医療機関
変更前
(1) 日本国内の医療機関であること
(2) 所在地、連絡先の表示があること
(3) 医療機関の治療責任者の経歴(学歴および当該医療機関における勤務、経験年数がわかる もの)を表示すること。医療機関が老人ホームを運営している場合もこれに準じる
(4) 公的医療保険が適用されない治療技術が紹介されている場合は、公的保険が適用されない 旨または診療金額が表示されていること
(5)医療法および医療広告ガイドラインで規定されている内容を遵守していること
変更後
(1) 日本国内の医療機関であること
(2) 所在地、連絡先の表示があること
(3) 医療機関の治療責任者の経歴(学歴および当該医療機関における勤務、経験年数がわかる もの)を表示すること。医療機関が老人ホームを運営している場合もこれに準じる
(4)医療法および医療広告ガイドラインで規定されている内容を遵守していること
今回の変更で(4)に記載されていた公的医療保険が適用されない治療技術が紹介されている場合における、「公的保険が適用されない旨」と「診療金額」の表示に関する基準項目が削除されました。
しかし、ポイントは文言が削除されたからと言って公的保険適応外及び、診療金額の明示の記載をしなくても良くなったわけではないという点です。
医療広告ガイドラインの内容へ準拠へ
今回の掲載基準変更に関して、Yahoo!JAPANのリリースには下記のように記されています。
基準上は項目が削除されますが、引き続き医療法および医療広告ガイドラインに従い、自由診療を訴求する場合は、公的保険が適用されない旨および標準的な費用を広告(クリエイティブ・リンク先)上に表示する必要があります
参考:広告掲載基準変更のお知らせ(2019/1/7適用開始) - Yahoo!プロモーション広告
※URL内のPDF資料より抜粋
つまり、Yahoo! JAPAN広告掲載基準からは削除するけど厚生労働省の定める医療広告ガイドラインに従って広告出稿をする必要があるということです。
医療広告ガイドラインとは
医療広告ガイドラインとは正しくは「医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関して広告し得る事項等及び広告 適正化のための指導等に関する指針」という厚生労働省が公布するガイドライン(指針)です。
分かりやすく言えば、人の命や身体に関わる医療サービスにおいて、不当な広告によってユーザーが被害を受けることを防ぐために定められたルールです。
これまでも、医療行為にかかわる「広告」のあり方は医療法について規制されていました。しかし「広告」の範囲が曖昧だったために近年では、医療業界でも過度な広告表現(施術前後の比較写真など)やグレーゾーンの広告もまだまだ見かけます。人命や身体に関わる医療サービスにも関わらず、正確な情報を得ることができない状況のままサービスを利用するのは不安ですよね。
そこで、今までグレーゾーンになっていた曖昧な部分を明確にするためにも今回の医療広告ガイドラインの改定がなされました。
自由診療における広告表現
医療広告ガイドラインには、自由診療の広告を掲載する場合はと以下の2つを併記する必要があると明記されています。
- 「公的医療保険が適応されないこと」
- 「標準的な費用(他の治療も含める必要があることが想起される場合はそれらを含めた総額である)こと」
自由診療の治療方法等を訴求する場合、今までの基準ではリンク先に記載されていれば掲載可とされていましたが、今回の変更でクリエイティブ(タイトル・説明文・バナー等) ・リンク先の各々に記載が必要となりました。
参考:医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関する広告等に関する指針(医療広告ガイドライン)
※PDF直リンク
「第2 広告規制の対象範囲4 広告可能な事項の具体的な内容 (12) 法第6条の5第3項第12 号関係④ 自由診療のうち、保険診療又は評価療養、患者申出療養若しくは選定療養と同一の検査、 手術その他の治療の方法(広告告示第2条第4号関係)」参照
費用を強調した広告表現にも注意
加えて、費用の記載については医療広告ガイドラインにおいて費用を強調した広告を禁止しているため、費用を表示する際は注意が必要となりそうです。
参考:医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関する広告等に関する指針(医療広告ガイドライン)
「第3 禁止される広告について>1 禁止の対象となる広告の内容>(8) その他>ア 品位を損ねる内容の広告① 費用を強調した広告」参照
※PDF直リンク
最後に
今回の改定で「医療広告ガイドラインを初めて知った!」「医療広告ガイドラインってなに?」と思った方は、まずは医療広告ガイドラインの内容をしっかりと理解するところからはじめましょう。ルールをしっかりと理解したうえで、日々の広告運用をしていくことが大切なのは、対象が媒体規約であろうと国のガイドラインであろうと同様ですね。
今回の広告掲載基準の変更は2019年1月7日(月)から施行されています。仮に今現在、広告が配信できていたとしても、掲載後の広告審査で掲載停止になる可能性も十分に考えられます。ご自身の広告は大丈夫かな?と思った方は今一度、掲載中の広告の見直しをおすすめします。