Google アドワーズのショッピング広告に新しいキャンペーンタイプとして「自動最適化」が追加されました。
参考:ショッピング キャンペーン(自動最適化)を作成する - AdWords ヘルプ
通常のショッピング広告は、検索結果(検索ネットワーク)に対して、Merchant Centerに登録された個々の商品画像や商品名、価格といった情報を表示することができます。
一方、今回追加された自動最適化ショッピングキャンペーンは、これまでのショッピング広告に加え、ディスプレイ広告にも自動で広告配信を行うことができるため、検索ネットワークとディスプレイネットワークを横断し、商品フィードをトリガーとした広告配信を1つのキャンペーンでカバーすることができます。
※ショッピング広告とは?については以下を参照ください。
参考:【2016年版】今日から始めるGoogle アドワーズ ショッピング広告、スタートアップガイド
目次
自動最適化ショッピングキャンペーンの導入要件
実施にあたっては、以下の要件を満たしている必要があります。
- 注文や購入ごとに変動するコンバージョン値をトラッキングしている
参考:リスティング広告の管理画面での売上金額の計測方法 - 既存のショッピングキャンペーンで、過去45日間に20回以上のコンバージョンを達成している。
- アカウント内でリマーケティングリストを作成されており、そのリマーケティングリストから広告の配信を行えるユーザー数が100人以上いる。
- 通常と同様にショッピングキャンペーンの要件を満たしており、ポリシーに準拠している。
参考:ショッピング キャンペーンの要件 - AdWords ヘルプ
参考:ショッピング広告のポリシー - Google Merchant Center ヘルプ
ショッピングキャンペーン(自動最適化)の設定方法
それでは、ショッピングキャンペーン(自動最適化)の設定方法を解説していきます。
キャンペーンの目標は「販売」または「目標を設定せずにキャンペーンを作成」どちらかを選択し、キャンペーンのサブタイプは「自動最適化」を選択します。
なお、入札戦略はデフォルトで「コンバージョン値を最大化」となっています。指定した1日あたりの予算内で、コンバージョン値(売上金額など)を最大化するように入札を自動調整するこの入札戦略は、2018年6月時点では自動最適化ショッピング キャンペーンでのみ使用できます。
「コンバージョン値を最大化」は、「コンバージョン数の最大化」と同様に1日の予算全体を使用する前提で作用します。目標コンバージョン単価などと同様に、予算の制限がないように1日の予算を高めに設定してしまうと思わぬ費用の高騰を招きますので注意しましょう。「目標費用対効果(ROAS)」を定めることができますので、目標とするROASがある場合は設定するのがよいでしょう。ただし、目標値が高すぎると予算に対して十分な配信を行うことが出来ずに売上が減ってしまうケースがあるため、過去のショッピング広告の結果を参考に現実的な目標値から検討していくのをおすすめします。
キャンペーンの作成が完了すれば、次に「商品グループ選択」を選択し、「商品グループ」の中から広告を掲載する商品グループを選択します。
ショッピングキャンペーン(自動最適化)では、商品グループは以下の商品フィードの属性を使って、グルーピングすることができます。
- カテゴリ(google_product_category属性)
- ブランド(brand属性)
- 状態(condition属性)
- 商品タイプ(product_type)
- カスタムラベル0~4(custom_label_0~custom_label_4属性)
商品フィードのこれらの属性が希望のグルーピングを行えるように整備されていることが重要です。
なお、通常のショッピング広告とは異なり、アイテムID(id属性)やローカル在庫広告に関する区分(チャネル、チャネルタイプ)は2018年6月時点では利用が出来ない点にも注意しておきましょう。
最後に、レスポンシブ広告を設定します。レスポンシブ広告の要件は、通常のディスプレイキャンペーンと同様です。こちらのアセットは以下のような場合に用いられるようですね。
ウェブサイトを訪れたけれども特定の商品にはまだ関心を示していないユーザーを対象としたディスプレイ ネットワークや YouTube で表示されます。ユーザーが(ウェブサイトで操作中に)特定の商品に関心を示した場合は、フィードに含まれる関連商品情報が使用されます。
参考:Google アドワーズ、「レスポンシブ広告」が登場!あらゆる広告スペースに柔軟に対応
ただし、従来レスポンシブ広告はアドワーズ管理画面でロゴを設定しますが、ショッピングキャンペーン(自動最適化)ではMerchant Center上での設定となります。
これで自動最適化ショッピングキャンペーン(自動最適化)の設定は完了です。
自動最適化ショッピングキャンペーン導入時のポイント
通常のショッピングキャンペーンやリマーケティングよりも自動最適化ショッピングキャンペーンが優先される
同じ商品が通常のショッピングキャンペーンにも含まれている場合、自動最適化ショッピングキャンペーンの広告が優先されます。配信開始の際は、両キャンペーンが干渉しないように、通常のショッピングキャンペーンは停止が推奨されています。
十分な日予算設定を行う
従来のショッピングキャンペーンに加え、動的リマーケティングや通常のリマーケティングでの配信も自動最適化ショッピングキャンペーンでのカバー範囲となるため、これらを合算した1日の費用に相当する金額をまずは設定するのがよさそうですね。
カスタムパラメータを設定する
ディスプレイ広告(動的リマーケティング)の配信において、閲覧した商品やカートへの追加アイテムなどサイト上のユーザー行動を正確に把握しフィード上の関心の高い商品を広告表示するためには、リマーケティングタグへのカスタムパラメータの追加は重要です。
参考:消費者と商品をマッチさせる動的リマーケティングの始め方
「Step.3 リマーケティングタグにカスタムパラメータを追加する」参照
カスタム パラメータを設定しない場合は、Google アナリティクスまたはグローバル サイトタグ(ページタイトルやランディング ページなど)で提供される分析情報に基づくフィードの商品照合には機械学習が使用されますが、フィードと訪問者を確実に紐付け、適切な広告配信をするためには、リマーケティングタグへカスタムパラメータを追加することをおすすめします。
十分なデータ量の確保とコンバージョンまでの所要時間を考慮する
通常のキャンペーンでは、目標広告費用対効果用いる際には、過去30日間に50回以上のコンバージョンを獲得していることが推奨されていますので、ひとつの目安となりそうです。
参考:Google アドワーズのコンバージョンを目的とした自動入札を導入しない方がいい4つの状況
また、商品によっては広告のクリックやインプレッションから実際の購入まで、数日あるいは数週間の時間を要する場合もあります。このような場合には導入後、十分な時間を確保することも重要です。コンバージョンまでの日数を加味せずに、成果の判断を行なってしまわないように、改めてコンバージョンまでの期間を把握しておきましょう。
セグメントアイコン(矢印部分)から[コンバージョン]→[コンバージョンまでの日数]で確認ができます。
参考:ユーザーがコンバージョンに至るまでにかかった時間を確認する - リニューアル版 - AdWords ヘルプ
まとめ
自動最適化ショッピングキャンペーンでは、同じ商品フィードによる広告配信を一元管理することが可能となります。これまで手動で定めていたユーザーリストによるターゲティングを、機械学習を用いた自動入札で賄うことにより、シンプルな構成での管理が可能となるのが最大の特徴です。商品タイプやカスタムラベルなど、商品属性ごとのレポート作成もできスムーズな成果の把握も可能になります。
一方で、これまでのようにラストクリックを基準とした広告の成果評価では、リマーケティングに多くの貢献度が割り当てられることが想像に固くありません。もちろん、アトリビューションの状況も踏まえて機械学習がなされ、よしなに入札が実施される可能性も多分にありますが、それでもGoogle アナリティクスでサイトにおける新規セッション率の変化などには気を配っておくのがよさそうです。
キャンペーン管理を簡略化される一方で、どういったユーザーリストや検索語句に配信されたかは現時点では把握ができません。新しいテクノロジーの導入を積極的に取り入れるのは非常によいことですが、何が出来て何が出来ないかなど、仕組みを十分に把握し、何を目的に導入するのかを明確にして取り組むことをおすすめします。