リマーケティングのベストプラクティス - Google アドワーズ公式ガイド

リマーケティングのベストプラクティス - Google アドワーズ公式ガイド
この記事は最終更新日から約6年が経過しています。

先日、Inside AdWordsのGoogle ベストプラクティスシリーズにて、「Display」項目にリマーケティングのガイドが追加されました。そのタイトルは「Remarketing Right on Cue」、意訳すると「思い通りのリマーケティング」といったところでしょうか。

当ガイドはチェックリストを含んだものであり、チェックリストだけをダウンロードすることも可能です(PDFファイルのみ)。チェックリストは10項目から成り、Googleアドワーズのリマーケティングを行う上で基本的な内容から応用的なものまで揃っています。1~10まで手順を踏んだ想定での構成になっていることに注意が必要です。

以下はチェックリストと、ガイドの内容で日本での配信において重要と感じた部分を抜粋・要約して合わせたものを和訳しています。

※一部、私個人による補足をしていますので【補足】にて記述しています。


 

リマーケティングのベストプラクティス 10のチェックリスト

まず、リマーケティングを始めるためのセットアップをしましょう。

1.デスクトップ版・モバイル版のWEBサイト両方の全ページに、同一のリマーケティングタグを設置します。

Why:リマーケティングタグはデバイスごとに訪問者のインサイトを読み取り、リマーケティングリストを強力なものにするから

広告主が陥るよくある間違いとして、リマーケティングタグをWEBサイトで部分的に設置してしまうことが挙げられます。これによって、いくらかの訪問者をリマーケティングリストに含められずにいるのです。リマーケティングの効果を最大化するためには、同一のリマーケティングタグを全てのページに設置しましょう。

次に、訪問者それぞれにメッセージを届けるための下準備をしましょう。

2.WEBサイトのトップページ・カテゴリページ・商品やサービスオファーページの閲覧者、カートページの離脱者や過去のコンバージョン達成者など、それぞれのセグメントごとのリマーケティングリストをつくります。

Why:それぞれの訪問者にとって最適な入札価格を設定し価値のある広告を届けることができるから。

WEBサイトの構造や流入数にもよりますが、訪問者に対して何らかの戦略性をもったセグメントでリスト分けすることを推奨します。もし対象者が比較的少ないリストがあれば、可能な限りそのボリュームを増すことでより高い統計的有意性を持った最適化が可能になるでしょう。

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入札と広告フォーマットを最適化します。

3.リマーケティングとコンバージョンオプティマイザー(目標CPA)をセットで利用する。

Why:入札を最適化機能によって自動化させることで、成果が改善し時間も短縮されるので他の広告運用に集中することができるから。

■コンバージョンオプティマイザー(目標CPA)を活用するには
  • 「目標コンバージョン単価」をアカウントの過去のCPAに合わせて始めてみましょう。
  • コンバージョンオプティマイザーを設定を変えずに2~3週間はそのまま配信しましょう。最適化のアルゴリズムは、ターゲットに合わせた広告配信の調整とパフォーマンスの安定に一定期間を要します。アルゴリズムをリセットさせてしまうので、キャンペーン設定・ターゲティング設定・コンバージョン単価設定などの大きな変更を行うことは少なくとも避けましょう。
  • 一度コンバージョンオプティマイザーのデータが蓄積すれば、成果を監視し必要に応じてCPAの調整を行います。この段階で、もし「CPAが1,000円上昇してもいいから配信の勢いを強めコンバージョンを増やしたい。」ということであれば、目標コンバージョン単価を1,000円上げてみましょう。多くの場合、1週間ほどで設定した目標CPAで実績が落ち着きます。

【補足】コンバージョンオプティマイザーの要件として、キャンペーンのコンバージョン数が過去30日で15件以上あることが求められます。要件に満たない場合は、代替案として「拡張CPC」の利用をおすすめします。 ※AdWordsヘルプ:拡張クリック単価(拡張 CPC)

4.全てのディスプレイ広告サイズとフォーマットを利用する。(テキスト、モバイルイメージバナー、HTML5)

Why:リマーケティングをより確実にユーザーに配信することができるから。

特定の広告フォーマットがないことによって配信が行われない、といった広告配信の制限をできるだけなくすことで、貴重な機会損失を防ぐことに繋がります。リマーケティングにおいて広告配信の適時性の確保は非常に重要です。

【補足】ディスプレイ広告に利用できるバナーサイズについては、過去記事「[随時更新] Yahoo!ディスプレイアドネットワーク(YDN)/Google ディスプレイネットワーク(GDN)で使える最新バナーサイズ一覧」にて紹介しています。

5.訪問者それぞれにとって最適な広告を配信できる動的リマーケティングを利用する。

Why:過去に目にした商品、または類似する商品を含む広告を見たユーザーは、再訪問をしてコンバージョンに至る可能性がより高くなるから。

もしあなたのビジネスが多種多様な商品やサービスを扱うのなら、ユーザーにとって最も関連性の高い広告を自動的に表示してくれる動的リマーケティングは今や必須と言えるでしょう。

【補足】単一の商品やサービスを扱っている、フィードへの対応が難しいなど条件的に不可能であるケースも多いかと思いますので、この手順はスキップでも大丈夫です。動的リマーケティングの詳細については、過去記事「消費者と商品をマッチさせる動的リマーケティングの始め方」にて紹介しています。

6.さらなる次のステップへ:コンバージョンオプティマイザー(目標CPA)を目標ROASの入札戦略に切り替える。

Why:コンバージョンオプティマイザー(目標CPA)から目標ROASの入札戦略に切り替えることで、多くの場合で成果が向上するから。

目標ROASは、拡張CPCと目標CPA(コンバージョンオプティマイザー)のアルゴリズムを基に設計された最も精巧な自動入札ツールです。AdWordsで最も優れたこのテクノロジーは、ユーザーが閲覧した商品やサービスそれぞれのコンバージョン価値を基にリアルタイムで入札を調整することで、売り上げの増加・より価値の高いリードの獲得を目指します。 ※AdWordsヘルプ:入札戦略ツールを使用する - 6. 目標広告費用対効果(ROAS)

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【補足】ここで示す目標ROASは、AdWords共有ライブラリ内の入札戦略で選択できる「目標費用対効果」のことであり、コンバージョン値を計測していることが要件です。多数品目の商品を扱っているケースでなくとも、例えば人材サービスの会員登録コンバージョン値を1、応募完了コンバージョン値に2を付与するといったことでも対応できますので、指標の優先度に合わせて値を設定しましょう。

さらなる改善のため、配信の除外設定を外しましょう。

7.言語・地域・プレースメントの除外設定を解除する。

Why:一度でもWEBサイトに訪問しているユーザーは、経緯はどうであれコンバージョンに至る可能性が高いから。

できるだけ多くの訪問者にリマーケティングでリーチすることで、より多くの訪問者と再接触する機会が生まれ、広告によって行動を促すことができるのです。訪問者をふるいにかけて配信対象から除外することは、その分リマーケティングのリーチ規模や施策のインパクトを弱くすることになるのです。

【補足】サービスの対象地域から外れておりコンバージョンの可能性がかなり低い、といったケースもありますのでなるべく除外設定はしないでおく、といった認識でいいでしょう。

8.フリークエンシーキャップを自動化する。

Why:Googleのアルゴリズムは、それぞれの訪問者が広告をクリックしやすいか、コンバージョンに至りやすいか、というデータに基づいてフリークエンシーキャップを最適化するから。

AdWordsの自動入札ツールと広告オークションは、広告成果を最適化するのと同様に、ユーザーの行動傾向から自然にフリークエンシーキャップを最適化します。

コンバージョンの可能性が高いより多くのユーザーへ広告を配信しましょう。

9.リマーケティングリストを拡張してWEBサイト未訪問のユーザーに広告配信をするために、「類似ユーザー」や「自動ターゲティング」の機能を利用する。

Why:これらの機能によってリマーケティングの配信量を拡大し、適切なコストで新しい顧客を獲得することができるから。

どちらの機能も、既存のリマーケティングリストを元に、購入活動・閲覧しているWEBサイト・興味関心などが"類似する"と高度に判定されたユーザーを新たにターゲティングが可能です。入札や配信する広告を既存のリマーケティングと切り分けて管理したい場合は「類似ユーザー」を、そうでない場合や既に拡張CPCまたはコンバージョンオプティマイザーを適用したリマーケティングを行っている場合は「自動ターゲティング」が相応しいでしょう。

「自動ターゲティング」には以下の2つのオプションがあり、状況によってそれぞれ使い分けましょう。

  • 「ターゲティングの慎重な拡張」:現状のCPAをあまり高くせずに、今より多くのコンバージョンを獲得したい場合に。
  • 「ターゲティングの積極的な拡張」:現状のCPAからある程度までは高く変動してもいいので、可能な限り多くのコンバージョンを獲得したい場合に。

【補足】入札や配信を別で管理でき、特定のセグメントのリストを指定できる「類似ユーザー」が試験的にも導入しやすいかと思います。活用されている方も多いと思いますが、コンバージョンユーザーの類似ユーザーは効果的であることが多いです。「ターゲティングの慎重な拡張」は既存の広告グループにおいて、ある程度の精度をもって類似したユーザーにまで配信拡大がお手軽にできるのが利点です。「ターゲティングの積極的な拡張」は日本では2014年まで「ディスプレイキャンペーンオプティマイザー」の名称であり、基本的な機能に変更はありません。

10. 「購買意向の強いユーザー層」のリストを利用する。

Why:あなたがオファーする商品やサービスを積極的に調べていたり、コンバージョンの可能性が高いユーザーの訪問をさらに増加させることができるから。

「購買意向の強いユーザー層」の中からあなたの商品やサービスに最も関連性の高いセグメントを選択し、既存のリマーケティングとは別の広告グループで運用をしましょう。購入意向が強いと高度に判定されたユーザーに対して配信ができるので、リーチを狭めないためにも性別やリマーケティングリストなど追加のターゲティング設定は行わないようにしましょう。

【補足】ディスプレイネットワークのターゲティング方法「インタレストとリマーケティング」内のカテゴリで選択ができます。用意されたセグメントの中で関連性の高いものがあれば利用してみるのもいいでしょう。


 

~訳者談~

リマーケティングの効果最大化を目指すのであれば、このガイドでも伝えている通り

  • 訪問者をセグメントごとに分けてそれぞれに響くメッセージを届ける。
  • 広告配信で回避できる機会損失と、除外設定による配信制限をなるべくなくす。
  • あとは自動入札機能による最適化に任せる。

というのが肝要な点であるかと思います。最後でふれている類似ユーザーや自動ターゲティングは、厳密にはリマーケティングではありませんね。しかし訪問者を元にしていると考えればそう言えないこともないですし、実際に効果的なことも多いですので積極的に取り入れていきたいですね!

ガイドでも主役となっているコンバージョンオプティマイザーなどの自動入札機能は、条件さえ整えば素晴らしい効果がある機能ですが、どうしてもハードルが高く感じられがちです。しかし、特にリマーケティングにおいてはコントロールもしやすいのでぜひ導入を検討してみてください。

今回のガイドを訳していて個人的に再認識ができて良かった点でもあるのですが、例えば特定のセグメントによる成果が悪く配信対象から除外したくなったとしても、「一度でもWEBサイトに訪問しているユーザーは、経緯はどうであれコンバージョンに至る可能性が高い。」という視点をこれからも大事にしていきたいですね。

以上です。ハッピーリマーケティング!

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