入札戦略のタイプはキャンペーン単位で統一
引用元:ポートフォリオ入札戦略を作成する - AdWords ヘルプ
Google アドワーズにおいて、2017年11月より、入札戦略のタイプをキャンペーン単位で統一するように変更する旨が管理画面および公式のヘルプページ上で通知されています。入札戦略とは、自動入札と個別単価設定を含んだ総称です。
また、Yahoo!プロモーション広告のスポンサードサーチにおいても、同様の変更が行われるとのリリースが10月頭になされました。スポンサードサーチでは「入札方法」と呼ばれます。
参考:【スポンサードサーチ】入札方法の機能改修のお知らせ - Yahoo!プロモーション広告
別の入札戦略タイプでの上書きを廃止
現状、キャンペーン以下では広告グループおよびキーワード単位で別の入札戦略の設定を行うことが可能です。キャンペーンの入札戦略は、より下層で設定した入札戦略によって上書きされる仕様です。
例えば、キャンペーンでは目標コンバージョン単価を設定していても、広告グループでは異なる入札戦略である目標広告費用対効果や個別単価設定を行い、より下層の入札戦略を適用させることが可能でした。
今回の変更によりこの上書きの仕組みが廃止され、設定できる入札戦略のタイプはキャンペーンごと1種類のみ可能となります。
一部の入札戦略タイプは、同じ入札戦略の入札額の上書きが可能
一見、キャンペーン単位でのみ入札戦略の設定が可能となり、例えば特定の広告グループだけ目標コンバージョン単価の値を高くするなどの対応ができないと思われるかもしれませんが、そうではありません。
広告グループの目標コンバージョン単価や目標広告費用対効果の戦略のほか、広告グループやキーワードのクリック単価もこれまでどおりに設定できます
ヘルプに記載のある通り、Google アドワーズでは、目標コンバージョン単価や目標広告費用対効果は広告グループ単位、個別単価設定は、広告グループやキーワード単位で、同じ入札戦略のタイプであれば設定が可能です。
上図ではキャンペーン単位で入札戦略「目標コンバージョン単価」を設定しています。広告グループ単位では同じ入札戦略の「目標コンバージョン単価」の目標CPA(tCPA)の数値を変えることは可能ですが、「目標広告費用対効果」といった異なる種類入札戦略を広告グループに用いることはできません。
なお、同じタイプの入札戦略であっても、ポートフォリオ入札戦略を広告グループやキーワードに対して適用させることはできなくなっています。
目標CPA(tCPA)の数値は、広告グループに表示される「目標コンバージョン単価」や「目標広告費用対効果」から個別に設定を行うことができます。(複数の広告グループを選択しての一括変更も可能です。)
ただし、「目標広告費用対効果」に関しては現状では、ポートフォリオフォリオ入札戦略をキャンペーンに適用させていた場合は、上記のように広告グループごとに入札戦略を上書きすることはできないようです。この場合、ポートフォリオ入札戦略ではなく個々のキャンペーンの標準の入札戦略として目標広告費用対効果を設定すると、広告グループ単位での上書きができる状態となります。
今回の変更により特定の広告グループだけキャンペーンに設定しているものとは別の入札戦略タイプを設定していた場合などは、別のキャンペーンへ移動させる必要があります。
注意点として、キャンペーンを分割させることによって、もちろん広告配信実績のデータも分断されてしまうことになります。今後に入札戦略の変更が想定されるケース以外は、自動入札を前提とした機械学習のためのデータを効率的に蓄積できるよう、予期せぬキャンペーンの移動などは極力避けることをおすすめします。
入札戦略の適用に当たっては、そのキャンペーンで達成したい目的は何なのか(コンバージョン単価なのか広告費用対効果なのか)、アカウント設計時からあらかじめ定義を明確にしておくことが重要です。
一方、スポンサードサーチでは入札方法のタイプを問わず、キャンペーンレベルでのみ設定が可能な仕様へと変更となり、広告グループ単位などで上書きはできません(2017年11月現在)。この点はGoogle アドワーズとは異なりますので注意しましょう。
変更のスケジュール(スポンサードサーチの場合)
Google アドワーズ側では2017年11月としか記載がありませんので、スポンサードサーチのスケジュールを共有します。
2017年11月1日(水):入札戦略の新規設定がキャンペーンのみへ。既に設定済みの広告グループ以下の単位の設定による別の入札戦略タイプによる上書きは継続されるが、設定変更は不可。
2018年8月初め頃:広告グループ以下の別の入札戦略タイプの設定が無効になり、キャンペーン単位での設定が配下のすべての広告グループ以下へ適用される。
しばらくは設定済みの広告グループ単位の設定による入札戦略の上書きは継続されるため、直ちに影響がでることはありませんが、今回の変更の対象のチェックとアカウント構成の変更など、早めの対応をおすすめします。
まとめ
今回のアップデートにより、キャンペーンに適用される入札戦略のタイプは1種類のみへ統一され、入札戦略の設定が簡素化されました。
自動入札の利用が広がったものの、別の入札戦略タイプで上書きできるという機能があったがゆえに、「キャンペーン内に別の入札戦略タイプが複数存在する」というコンバージョン単価や広告費用対効果を目標に合わせていくために必要なデータ量を得るためのアカウント構成と矛盾しているケースが少なくなかったのではないかと考えられます。
今回の機能変更を機に、自動入札をはじめとした入札戦略とアカウントの構成が目標に対してシンプルにまとめられているか確認してみることをおすすめします。