
2020年8月4日、Google 広告アプリキャンペーンが対象の2つのアップデートが発表されました。1つ目は入札戦略へ「インストール数の最大化」の追加、もう1つは画像クリエイティブ要件のアップデートに関してです。また新たな画像クリエイティブ要件への移行支援のためにツール提供も行われるとのことなので、合わせて解説します。


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「インストール数の最大化」が選択可能に
アプリキャンペーンの入札戦略で「インストール数の最大化」が選択可能となりました。
現在は大きく分けて3つの入札戦略を選ぶことができます。
- インストールの促進を重視(tCPIの設定が必須)
- アプリ内ユーザー行動の促進を重視(tCPAの設定が必須)
- アプリ内ユーザー行動の価値を重視(tROASの設定が必須)
参考:アプリ キャンペーンについて - Google 広告 ヘルプ
これまでは「目標インストール単価」を設定する必要がありましたが、「インストール数の最大化」を選択することで、設定している予算におけるインストール数を最大化できるように入札が自動で調整できます。

画像引用元:Grow your audience faster with Maximize conversions bidding in App campaigns - Google Ads Help
上のキャプチャにも(optional)とある通り、目標インストール単価の設定よりも、Googleもインストール数の最大化を推奨している様子が見て取れますね。
なお、本アップデートの適用時期は明言はされていません。当社の観測範囲内ではまだ管理画面に反映されていないため、徐々に適用アカウントが拡大していくものと思われます。
広告主側からすると、特に新アプリの投入時にどれくらいの目標インストール単価が適切なのか、わからないことも多いと思います。使える予算に応じてインストール数を最大化してくれるこの新戦略は、インストール単価の相場がみえづらい場合でも気軽に配信できるという意味で、広告主に優しいアップデートと言えそうです。
これからは、まずは無理のない上限予算を設定した上で、ある程度インストール数の最大化戦略でコンバージョンデータを蓄積。その後得られたインストール単価の相場感を参考にして、目標インストール単価を設定し、予算上限を引き上げてインストール数の拡大を狙う、という手法が主流になりそうですね。
画像アセットの要件が変更に
アプリキャンペーンはターゲティングがほぼ自動であるため、クリエイティブが配信の成否を大きく左右します。本記事を参考に、いざ適用になっても慌てないよう準備を整えましょう。
アプリキャンペーンの現行の画像仕様
アプリキャンペーンに投入できるクリエイティブアセットは「テキスト(見出し・説明文)」「画像」「動画」の3種類です。配信面に合わせて最適なものを媒体が自動選択し、クリエイティブが掲出されます。
なお従来型の画像解像度は30種類以上あります。
参考:イメージ広告の画像サイズ - Google 広告エディター ヘルプ
もちろん全ての解像度を準備しなくとも配信は可能です。サイズごとに広告在庫数は大きく異なるため、主力サイズ(300×50・300×250・300×480・1200×628)のみを投入するという選択肢は有り得ます。
しかし仮に対応するサイズの画像が準備できていない配信枠で表示機会が得られたとしても、画像なしのテキストのみの掲出になってしまいます。そのため可能な限り多くの配信枠をカバーできるよう、できるかぎり多くのサイズを準備するのが基本です。
アップデート内容
画像解像度の要件がシンプルかつリッチになりました。細かい解像度ベースでなく、縦横の長さの比率を守りつつ、一定の解像度範囲内に収まっていればOKです。加えて、対応ファイルサイズ要件が緩和され、高解像度画像が投入しやすくなります。一方、GIFが投入不可になるため、動きのあるものは動画でという棲み分けが明確になります。
■画像解像度の新要件
アスペクト比 | 最小解像度 | 推奨解像度 |
---|---|---|
1:1 (スクエア) | 200 x 200 | 1200 x 1200 |
1.91:1 (ランドスケープ) | 600 x 314 | 1200 x 628 |
4:5 (ポートレイト) | 320 x 400 | 1200 x 1500 |
■ファイルサイズ要件緩和・対応ファイルフォーマット変更
従来型 | アップデート後 | |
---|---|---|
ファイルサイズ上限 | 150KB(1200×628のみ1024KB) | 5MB |
ファイルフォーマット | JPG/PNG/GIF | JPG/PNG |
新要件に合致しない既存アセットの取り扱いは?
注意が必要です。本アップデートが適用されると、新フォーマットに適合しないアセットの追加はできなくなり、また既存の旧フォーマットにのみ対応するアセットは配信停止され、自動的に削除されます。なお配信実績のレポートは、アセットが自動削除された後も削除されることはないようです。
なおアップデートの実施予定は記事執筆時点では明示されていませんが、「来年初頭」つまり2021年の序盤での完全移行となることが示唆されています。
参考:Simplifying image requirements for App campaigns - Google Ads Help
アプリキャンペーン用画像トリミングツールの提供
近日中に、既存アセットを新フォーマットに移行させるための純正トリミングツールが提供開始されます。未公開ツールのため管理画面キャプチャはありませんが、現行のレスポンシブディスプレイ広告やファインド広告で提供されているツール(アスペクト比を選んでどの部分をクロップするか選ぶ)と同様のものだと思われます。

参考:レスポンシブディスプレイ広告のアスペクト比選択画面より
より高速に画像クリエイティブのPDCAを回しやすくなる
配信を成功させるためには、可能な限り多様なサイズのクリエイティブを訴求軸ごとに準備し、かつ頻繁な入れ替えで鮮度を保つことが半ば必須であるアプリキャンペーン。
今回のアップデートの背景は、ディスプレイ広告におけるGoogleが推奨する配信形式が、イメージ広告からレスポンシブ(ディスプレイ)広告へ移行したことと、ほぼ同じ構造だと考えられます。
つまり具体的には、細かいサイズ要件が撤廃されることで、作成段階で多くの解像度に対応する必要がなくなり、1訴求あたりの必要クリエイティブ数が減ることになります。結果、浮いたコストでバリエーション豊富な広告素材を準備できる可能性が高まるでしょう。
アップデート適用後にアプリキャンペーンで成果を出すためには、これまで以上にクリエティブの鮮度を意識しつつ、成果に応じて入れ替えていくサイクルを高速回転することがより強く求められることになりそうです。