アナグラムが採用活動においてどのようにPDCAを回しているか

アナグラムが採用活動においてどのようにPDCAを回しているか

アナグラムは2020年4月で11期目を迎え、ありがたいことにこれまで着実に規模を拡大してきました。その大きな要因の1つが「採用」です。

2016年から本格的に採用活動に取り組みはじめ、時には応募が殺到し採用を一時的にストップすることはありましたが、基本的には採用人数に上限を設けることなく、常に採用活動を続けてきました。

採用に一切妥協をすることなく、本業の運用型広告やマーケティング支援同様に常に現状を疑いながら採用における全工程をブラッシュアップし続けてきました。そして、これからもまだまだブラッシュアップを続けていきます。

運用型広告という決して一般的ではないジャンルのなか、弊社が採用活動においてどのようにPDCAをまわし改善をしてきたのか、その一部をご紹介させていただければと思います。


経路ごとの特性を理解し、適切なメッセージを届けてきた

ここはもはや弊社が最も得意とする運用型広告と全く同じ考え方です。

InstagramやTwitter等SNSごとにユーザーの特徴があるのと同じように、採用経路においてもそのチャネルごとに特長があります。媒体資料に掲載されている場合もありますし、実際にその媒体を使ってみて肌で感じること、あるいはそこからご応募いただいた方にお会いすることで感じることもあります。

また求人媒体であれば、採用者自身が自分で触ってみることも重要です。求職者の方がその媒体でどのように検索し、自社を見つける可能性があるのか。どのような検索結果画面に自社の求人情報が掲載されるのか。それに対してどのようなメッセージを届ければ求めている方に反応していただけるのか。Twitterを普段やらない人が、良いTwitter広告のクリエイティブを作りづらいのと同じように、自分で媒体を触ったことがない人にいい採用クリエイティブは作れないと思っています。

数字をもとに分析し、適切に戦略・戦術を選択してきた

戦略が重要なのは言うまでもありません。マーケターとして著名な森岡毅氏の『確率思考の戦略論 USJでも実証された数学マーケティングの力戦略』から言葉をお借りすると、戦略とは、

達成したい目的を叶えるために、自分の持っている様々な資源を、何に集中するのかを選ぶこと

です。

運用型広告においても限りある資源(ご予算や時間)に対してどのようにポートフォリオを組み、数多ある施策の中でどの施策を打てば大きな成果につながるかということをひたすら考えてきました。

現場の人事の方目線で置き換えると「自社の求める方を採用する」というひとつの目的を叶えるために、限りある業務時間と採用予算をどこにどれだけ集中させるかが重要です。(※もちろん視座を上げると、入社後の成長や、そもそも自社の求める人とは?を突き詰めること、企業としての目的達成のために採用にどれだけリソースを割くのかといった上段の目的もありますが、ここでは分かりやすく現場目線の話をさせていただきます。)

最初から最善の戦略を立てられれば良いですが、天才でもない限り難しく、データをもとに戦略を立てる必要があります。そこで弊社では採用における判断のスピードを早めるために採用経路ごとの数値や、月次の推移などを下記のようにGoogle スプレッドシートやGoogle データポータルを活用してまとめています。


※記事用に一部表示を変更しています。

どの経路が最も内定に繋がっているのか、どの経路が人事面接を通りやすいのか、どんな外的要因があって応募が増減したのかなど定期的に振り返ることで、限りあるリソースをどこに集中させるのか、つまり戦略を立てるうえでの材料としています。

Google スプレッドシート:応募者一覧
Google データポータル:採用データ
※上記サンプルはコピーしてお使いいただけます。

選考の内容を常にブラッシュアップし続けた

応募者の方の選考体験をよりよくするため、お互いのミスマッチをなくすためにも、選考内容は常に「本当にこれが最善か?」と疑いを持っています。

アナグラムの現場面接は基本的に挙手制での参加となるため、時には応募者の方に7~8人のメンバーと会っていただくことも少なくありません。どのように面接を組めば応募者の方の負担にならずに、お互いの疑問を解消できる場を作れるか。時には人事が現場面接に同席し、アイスブレークの仕方や面接時の身振り手振りなどフィードバックをすることもあります。

また面接で聞かせていただく質問や、独自で用意している適性検査の内容も常にブラッシュアップし続けています。その質問は適性検査で聞くべきなのか、それとも直接面接の場で聞くべきなのか。応募者の方にじっくりと考えたうえで回答していただきたいのか、それとも瞬発的に思いついたことを回答していただきたいかによって変わってきます。

聞くべき質問に関しても、可能な限りその方の本質的な部分が見えるように人事や採用メンバー全員で定期的に考え直しており、その際特に参考にしているのがアメリカの心理学者ブラッドフォード・D・スマート氏が提唱する3分類です。スマート氏は人の特性を「変わりやすい特性」「変わることはあるが変わりにくい特性」「変わりにくい特性」の3つに分類しており、「変わりにくい特性」を見極めるためにはどのような質問にすべきかといった点を議論しています。(詳細は著者服部 泰宏氏の『採用学』という書籍でも紹介されています。)

選考だけでなく、入社後の経過もきちんと分析してきた

面接時のフィードバックは長期的にみると企業としての非常に重要な資産です。その資産を可能な限り精度高くかつ有効活用するためにも、弊社では面接に出たメンバーから1営業日以内にネガティブ要素とポジティブ要素に分けてフィードバックをもらうようにしています。

面接時にどのような印象をもった方が、入社後どのように活躍をしているのか。面接と比較するとどうしても母数が少なくなってしまうのでこの部分の分析は軽視されがちですが、最初のうちから的確なフィードバックを残しておく文化を作っておくことは、長期的な採用の成功の為にも非常に重要であると考えます。

経路や選考内容だけでなく採用メンバーの分析も行ってきた

大前提として、弊社は採用において挙手制をとっており採用メンバーのことは信頼をしています。

ただし、面接後に出たネガティブなフィードバックを前述の「変わりやすい特性」「変わることはあるが変わりにくい特性」「変わりにくい特性」にあてはめたときに、その要素は入社後に変えられることができないのか、教育やマネジメントによって払拭できる可能性はないのか、を客観的に考えるようにしています。変わる可能性が高いのであれば、それを理由に不採用にしてしまうのは正しい判断ではないかもしれません。

逆に、一見ポジティブなフィードバックに見えても本質的にはそうでない要素もあります。運用型広告の経験が豊富、WEBに関する周辺知識が豊富といったいわゆるスキルの部分はもちろん大事ではありますが、前述の分類でいうと「変わりやすい特性」にあてはまり、カルチャーフィットを重視する以上そこだけを理由に採用をするのはこれもまた正しい判断ではないと考えます。

面接官からのフィードバックを100%そのまま受け入れるのではなく、本質的にその意見はポジティブorネガティブなのかを考え、一緒に議論する場を設けることでより理想の採用に近づけると考えています。

最後に

アナグラムが採用メンバー全員の共通認識として大事にしているのは『我々は常に選ばれている立場である』ということです。大変ありがたいことに一度ご応募いただきお見送りになった方が、のちに様々なご経験を積んで再度ご応募いただいたり、別の企業さまに就職してお仕事のお問い合わせを頂くことも少なくありません。採用において自分たちが選んでいると傲慢になり、心無い対応をしてしまうのは長期的にマイナスでしかありません。

本記事で書かせていただいたどの内容も、結局は自社、応募者、顧客の”長期的”な三方よしとなることを理想に取り組んでいます。そのためには企業側が求職者の方を選ぶという意識ではなく、しっかりと情報を発信し、ウソなく正直にお伝えし、求職者の方に理解していただくことが非常に重要です。それは弊社が採用や教育で大事とする「10年後に一緒に食事に行きたいと思えるかどうか」という点にも繋がります。

採用マーケティング・戦略人事といった言葉があるように採用は、マーケティングだということが今日よく言われ、本記事で書かせていただいたような内容をふまえるとまさにその通りだなと改めて感じます。採用に1つの正解はなく、多くの企業さまが日々頭をひねりながら自社に合った採用活動を続けられていることかと思いますが、多少なりとも参考になると嬉しい限りです!

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